第20章 LOVE×中毒
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…鬼の気配…随分人を喰ったような臭い。例えるならば蟹の腐敗臭かしらねぇ←四百年前に縁壱と結婚していた時、自分で捕まえてきた蟹の存在を忘れて腐らせた事があり、流石の縁壱も言葉を詰まらせた
目の前の鬼は「女ぁ」と言いながら、何とも言えない気持ち悪い顔でにじり寄って来て喋り出した
鬼「お前鬼殺隊かぁ?この前の女は喰いそこねたが、お前は大人しく喰われなぁ」
喋んなよキモい
まゆ「キャァーコワーイ!巌勝さん助けてぇぇぇ!!」
私が叫ぶと、随分遠くの長屋の屋根の上から見ていた巌勝さんが素早く飛び出して来て技を放つ
黒死牟「月の呼吸 弐ノ型 珠華ノ弄月 」
鬼「ギャァーーー!!」
巌勝さんなら大分遠くから気配を察知できるけど、私が「巌勝さん助けて」と言うのを聞きたかったのだろうと予測する。実弥は十秒位遅れて登場した
実弥「なっ………(なんて速さしてやがんだコイツっ)」
巌勝さんは鬼を滅すると、日輪刀を鞘に納めて私を抱き上げた
黒死牟「完璧な囮だった。流石は私の可愛いまゆだ。怖かっただろう、怪我は無いか?あとで身体の隅々まで確認せねばな」
ねぇ巌勝さん、実弥が居るの忘れてないかしら?
まゆ「大丈夫、二人を信じてたから!」
黒死牟「そうか…(そう言えば不死川も居たのだったな…これは少々不味いか…?)」
実弥「俺は何もしてねェ(身体の隅々までって何だよ!)」
『巌勝さんを信じてたから♡』なんて言ったら角が立つから『二人』にしてみましたよっ
まゆ「今日で言えば、そうかもしれない。だけど、誰かと合同任務になった時に、実弥だと安心感が半端ないよ!いつもありがとう!」
これは本当。背中を任せられるって云うか…なんて言ったら良いかわからないけど
だから私は「ありがとう!」とニコッと実弥に笑いかけた。実弥は「そうかィ…」と少し照れたように髪をかき上げた
まゆ「あっ師範、私歩けますから下ろしてくださいな(笑)」
黒死牟「むぅ…………」
不満そうだけど実弥の前だから我慢して!それこそ規律が乱れちゃうわよ?
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