第16章 私の我儘【天国地獄魔界編】
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縁壱「ほぅ、人間だった頃からなのか」
まゆ「まぁ簡単に言うと、私は拠点が欲しくて一ノ瀬は臭くない嫁が欲しくて、謂わば偽装結婚ってとこかな。貴族は皮膚から悪霊が云々で風呂入らなから臭いのよねー」
一ノ瀬は「悪霊?毎日戦ってんのに今更ビビるかボケっ!」と言い、衛生面を優先して毎日風呂で汗を流していたのだ。自分は臭くないが『他の貴族は臭い=娶る嫁も臭い』と結婚する気にならずに、貴族であるにも拘わらず二十七歳独身だったのだ
縁壱「なるほど、超一流ともなるとそう考えるのか。まゆは一ノ瀬殿と夫婦だったのだな…」
まゆ「利害の一致しただけの偽装結婚だから気にしないで。言っとくけど、口づけも夜伽もしてないわよ?言ったでしょ、魔族体は縁壱さんが初めての相手だって」
縁壱「……まゆは分かっておらぬ。私は、それでも嫌なのだ」
まゆ「男心ってやつ?」
縁壱はまゆを信用しているし、好き同士でもない『偽装結婚』という状況で、一ノ瀬が相手に手を出すような男だとも思っていない。だが複雑なのが男心というものらしい
縁壱「もう二度と、その様な真似はしないでほしい」
まゆ「しないわよ!話逸れたけど方法は、その二つ位しか思いつかないわ」
まゆは話の軌道修正をする。本当に一ノ瀬とは何もないので、これ以上追求されても困るのだ
縁壱「…わかった。鬼舞辻無惨との戦いが激化か…奴の尻尾を掴めるのは、一体いつになるのか分からぬ故にタイミングが難しい」
まゆ「それは、前知魔ラプラスに百年置き位のスパンで聞きに行く事にするわ。大分と有効だと思うわよ!ただの思い付きだけど…」
前知魔ラプラスとは、自らヴァチカンの地下牢獄に入っている変り者で、百年先の未来までを見透す事の出来る悪魔である
縁壱「そうか…その時は兄上を頼む」
まゆ「ねぇ、今更思った。私は魔族だし、多情の竜族を作っただけあって二人と結婚とか問題無いけどさ…縁壱さんは嫌よね?だから連れて来た所で如何するのよ」
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