第16章 私の我儘【天国地獄魔界編】
・
それでも雅勝は直ぐに立ち上がって手を差し出し、理壱を起こしながらもプンスカと縁壱に文句を言っている
雅勝「父上ぇー、手加減してくださいよっ!」
理壱「痛いです…」
縁壱「その位は我慢しなさい。雅勝も理壱も男子だろう?そんな事では立派な侍になれぬぞ。そして、お前達が強いのは勿論の事だが、更に上の強者が持つ様な独特の気迫を感じるのだ。それ故、あまり手加減をしては失礼だと思ってな」
流石に純魔族として生を受けただけあり、元からの身体能力が怖ろしく高い。人の大人とでも比較にならなかった。父から強いと褒められた二人はキラキラと眼を輝かせている
縁壱「全集中常中は出来ておる故、日の呼吸を教える。雅勝、お前は兄上と同じ月の呼吸にするか?」
雅勝「母上は両方使えると聞いております故、何れは月の呼吸をと思いますが、今は日の呼吸を覚えとうございます。父上、ご指南の程よろしくお願い致します!」
理壱「私も両方覚えたいです」
月の呼吸はまゆか美月が教える事になる。しかし、まゆは教え方が絶望的なので、美月が教える事になるだろうと縁壱は考えているが、とりあえず日の呼吸を教えていく
縁壱「二人とも随分のみ込みが早い故に教え甲斐がある。継子になった時のまゆの様だ…」
まゆ「この様子だと明日辺り習得ってとこかしら?」
縁壱が日の呼吸の技を見せながら二人に指南をしていく。雅勝と理壱は見様見真似で技を出し、一発目から形になっている。本当にあと少しなのだ
縁壱「否、今日中には習得できるだろう。そして潜在能力も未知数…楽しみで仕方がない」
まゆ「ふふっ、二人共に立派だわ!縁壱さんと巌勝さんに似て♪」
雅勝と理壱は何度も技を練習し、習得しようと一生懸命である。終いには『どっちが早く習得できるか競争』が始まってしまったが、楽しそうなので喧嘩になったりはしないだろう
理壱「兄上、どっちが早く習得するか競争です!」
雅勝「うむ!どっちらが勝っても恨みっこ無しだ!」
そんな子供達の姿を、縁壱とまゆは肩を寄せ合い幸せそうに眺めていた。ふっ、と目が合うと自然に重なり合う唇が、お互いを深く思い合っているのが見て取れる
そう、見ていた。三人の子供達が…
・