第16章 私の我儘【天国地獄魔界編】
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美月は「かしこまりました!」と、元気良く走り去っていった。縁壱とまゆは、娘が頼りにされているのが嬉しいのか、お互いに目を合わせて微笑んだ
鬼灯「さて、何をお聞きになりたいのですか?」
まゆ「亡者と魔族で子供を作れるのか否かよ。閻魔は亡者だけど、括りは多分違うのよね…」
縁壱「私とまゆは、もう一人二人子供が欲しいのです。ただ私は亡者でございます故、それが可能なのかと…」
鬼灯が忙しいのは知っているので、あまり時間を取らせては悪いと、単刀直入に質問をする。
鬼灯「あぁ、その事ですが…」
閻魔大王「おはよう〜♪まゆちゃんと縁壱君来てたんだね〜、いっしゃい!今日はね〜えっ?グハァっ!?」
縁壱「閻魔大王様、おはようご…………」
スパンっ ゴシャっ ズドーーーン
まゆ「なんてタイミングで出勤を…」
鬼灯が質問に答えようと喋りかけた所で、閻魔大王が出勤して来て和やかに挨拶を交………せなかった
閻魔大王「ダハッ!痛いじゃないかっ!グスンっ、なんでぇ〜」
閻魔大王のテンションが鬼灯の癇に障ったのか、元々機嫌が悪かったのかは不明だが、全力でブン投げた金棒が閻魔大王にクリーンヒット。更に、閻魔大王の身体が柱に激突したのである。先程のエグい音は効果音だったのだ
鬼灯「何かムカついた。反省はしていなーい!!」
まゆ「鬼灯君と一ノ瀬が仲良いのがわかるわぁ」
縁壱「上司にキツイ部下という点では良い勝負だな…」
鬼灯が床に落ちた(めり込んでいた)金棒を拾い、何事もなかったかのように涼しい顔で、先程の続きを話していく。因みに閻魔大王は机に伏せて泣いている
鬼灯「大変見苦しい所を、お見せしてしまい申し訳ありません。後でキツく締めてきかせますね!さて先程の話ですが、縁壱さんが亡者のままでは残念ながら子供は出来ません」
まゆ「えっ!?鬼灯君、これ以上締めるの!?」
縁壱「では、どうしたら…」
まゆが鬼灯にツッコミを入れる。『魔族でも、あれ以上はしない!!いくらなんでも可哀想よ(汗)』と思っての発言だったが、鬼灯と縁壱は見事にスルーした。縁壱にも着々と『上司に厳しい部下耐性』が付いてきている様で何よりだ
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