第16章 私の我儘【天国地獄魔界編】
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美月「私とっくに六十歳過ぎてんだけどぉ!?吉寿郎さんの時もそうだったけどさ、何で頑なに彼氏に会おうとしてくれないの?鬼として行き遅れたらどうしてくれるのさ!」
縁壱「お母さんは四十億年嫁に行っておらぬ。それどころか付き合った相手も居なかったのだぞ。寿命が無い分、数百年や何千年も結婚しないのは普通だ」
まゆ「私を引き合いに出さないでよね…どうせ3Kの行き遅れだったわよっ!」
憐れ、まゆのメンタルはボロボロになっていく。雅勝と理壱は気を利かせたのかリビングの端っこで、神魔界で流行っている双六【神!モーセの髪を復活させよ】をプレイ中である
縁壱「まゆは私と兄上にしか惚れておらぬのだからそれで良い。四十億年間じっくりと相手を選びに選んだ結果だからな。だが、美月は吉寿郎君と死別してまだ二十年もならないだろう?」
美月「はい棚上げたぁっ!お父さんは死別して何年で、お母さんに惚れて口説きましかぁぁぁ!?だいたいが、その理論でいくと人間は大半が再婚出来ないよね!お母さんみたいに四十億年行き遅れたら末代までの恥よ、恥っ!」
縁壱に見事な特大ブーメランが刺さる。そしてまゆのHPはZEROになり、ソファーにもたれて何やら言っている
まゆ「Oh、ワタシハイキオクレ…ヒーヒッヒヒ…」
縁壱「むっ……分かった。しかし、お母さんの事は訂正しなさい。恥ではない故に…」
美月「わっ、分かったから、そんなにショボーンとしないでよ!私が悪い事してる気分になるっ」
城のリビングに微妙な空気が漂う中、まゆが復活を果たした。考えてみれば『行き遅れたのではなく行かなかっただけ!』なのだ。まゆがHPを削られる理由がないのである
まゆ「なら決まりね!三日後に美月の彼氏が来るから、使用人に準備させるわ♪それと、縁壱さぁん♡まゆは縁壱さんが構ってくれないと滅ぶっ」
縁壱「滅ばれたら私は立ち直れぬ。おいで、愛おしいまゆ…」
美月「馬鹿夫婦乙!!雅勝、理壱、よーく聞きなさい!この夫婦はコレがデフォルトだから慣れなさいよぉ?」
雅勝「姉上、雅勝は父上と母上が仲良き事が大変嬉しゅうございます!」
理壱「私もです!」
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