第16章 私の我儘【天国地獄魔界編】
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一ノ瀬「縁壱様お久しぶりで御座います」
縁壱「一ノ瀬殿、その節は大変お世話になりました。…ん?雅勝何をしておるのだ、ほらおいで」
雅勝「えっ?し、しかし私は……」
縁壱が戸惑っている雅勝に近づき抱き上げて頭を撫でると、雅勝は下を向いて泣いてしまった。縁壱の子ではなく巌勝の子である自分は、歓迎されていないと思っていたのだった
縁壱「雅勝も私の子として育てようと思うのだが良いか?」
雅勝「グスッ…私が父上とお呼びしても良いのでしょうか…」
まゆ、美月、理壱、一ノ瀬は「くっ…良いに決まっとるやん!」と貰い泣きをしている。縁壱は雅勝の問に微笑みながら首を立てに振り、雅勝は縁壱に抱きついて喜びを現していた
縁壱「あぁ、勿論だ(いつか兄上がこちら側に戻られるその日まで、私はこの子の父親でありたい…)」
雅勝「ち、父上ぇ…」
話が纏まり、夕餉も終えたら家族団欒の時間だ。雅勝と理壱が縁壱を挟む形になり、くっついてソファーで寛いでいると、向い側のソファーに座っている美月が、何かを言いたそうにモジモジしている
まゆ「はぁ…美月、言わなきゃ始まんないわよ?」
美月「んーわかってるってば!」
縁壱「どうかしたのか?」
雅勝と理壱は顔を見合わせ「「あー、アレか…」」と呟いた。縁壱は、何の事だろうと首を傾げた
美月「あ、あのさ〜…お父さんに会ってほしい人(鬼)が居てさ…一年半お付き合いしててね、とっても良い人なの」
縁壱「……私が会わねばならぬ理由は?」
雅勝・理壱・まゆ「「「何故に拗ねるか!?」」」
縁壱は今までに無い位に眼光を鋭くし、低い声で美月に問う。美月の彼氏紹介は現世で体験している為に今回二度目であるが、嫌なものは嫌だと珍しく態度に出ているのだ
美月「理由って!そりゃぁ結婚を考えてるからに決まってるからでしょうよ!」
まゆ「あんた、お父さんに何て口を利くの!」
縁壱「まゆは黙ってなさい。美月、お父さんは反対だ。まだ若いのだから焦る必要が無いだろう」
『若いの基準がわからない』と、まゆとチビ達は苦笑いである
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