第16章 私の我儘【天国地獄魔界編】
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雅勝と理壱は身を寄せ合い話を聞いていた。うたは縁壱の言い分に首を縦に振りまくっている
美月「でも、お母さんは大丈夫だから良いの!」
縁壱「何が大丈夫なんだ?お母さんが無理をする子なのは、お父さんがよく知っている。放っておけるわけがないではないか…」
美月の言葉に縁壱は苦しそうに答えた。今の縁壱では何も出来ないのが現状だったが、男として譲れないものはあるのだろう
美月「良いってば…雅勝と理壱は、お母さんと私で育てるの!だから、だから…お父さんは赤ちゃんを、ちゃんと賽の河原に行けるようにしてあげてよ…お願いだから」
縁壱「みっ…」
うた「子供が我慢するもんじゃねーだよ!」
縁壱の言葉が遮られたと思ったら、うたは赤子を雅勝と理壱に任せて参戦してきたのだ
うた「縁壱さに会いたければ会えば良い、この子等には父親に会う権利があるべさ。大人の都合で子供達に寂しい思いをさせちゃなんねーだよ」
美月「それはそうだけど…赤ちゃんに影響するからって十王様達の決定だし、お母さんはわかってて産んだし…」
と、その時
赤子「ふぁー」
雅勝「欠伸したぞ!可愛いな理壱!」
理壱「はい、兄上!うわぁー可愛い…」
大人組は驚いて一斉に子供組に注目した
縁壱「眠りから覚めたのかっ」
うた「まさか…」
赤子「ふぇ、ふぇっ…ほにゃーほにゃーほにゃー」
理壱「どうしましょう泣いてしまいましたぁっ!」
雅勝「理壱落ち着け!」
美月「誰か鬼灯様呼んでぇぇぇ」
何がきっかけか、七十年近く眠っていた赤子が遂に眠りから覚めたのだ
縁壱「やっと声が聞けたな…」
うた「おーよしよし、可愛いだなぁ」
美月「真に、おめでとうございます。私達は帰りますね!ほら雅勝、理壱帰るよ!」
雅勝と理壱は「はい!」と返事をして立ち上がる。縁壱と、うたに一礼すると理壱は、おずおずと縁壱に話しかけ別れを告げた
理壱「お会い出来て嬉しかったです、さようなら…」
縁壱「理壱、さようならではないだろう?美月も待ちなさい」
美月「…………」
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