第15章 最初で最後の嘘
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一ノ瀬「遅くなり大変申し訳ございません。情報を掴みましたのでご報告を…まゆ様と縁壱様が、お捜しになっておられる鬼は見つかりました。住まう場所はそこまで遠くは御座いませぬ故、行動範囲も特定されております」
まゆ「で、何処に居るのかしら?それとその喋り方どうしたのよ。変な物でも食べたわけ?」
一ノ瀬は溜め息をつくと立ち上がり、縁壱に一礼をしてまゆの方を見る
一ノ瀬「堅い・キツイ・怖いを具現化させた様な女を折角嫁に貰ってくれた方が居られるのだ。故に、お前を立ててやろうかと思ってな」
まゆ「誰が堅い・キツイ・怖いが揃った行けず後家ですって!?余計なお世話よ!!で、場所を言いなさいよ、場所を!」
縁壱「…………」
主従関係?と思うが縁壱は二人の関係がいまいち掴めず戸惑っている
一ノ瀬「貴方が継国縁壱様ですね。申し遅れました。私は一ノ瀬道頼と申します」
一ノ瀬は主人であるまゆをガン無視してから縁壱に挨拶をした
縁壱「この度は私の為に誠にありがとうございます。何と申し上げたら良いか…」
一ノ瀬「礼には及びません。縁壱様は大変お兄様思いで、更にまゆを娶られた御方でございます。縁壱様の器の大きさや優しさに感服致しました。私で宜しければいくらでも協力させていただきます故…」
まゆ「一ノ瀬ぇ!一介の魔族が魔王たる私を無視した挙句に悪口とは良い度胸してんじゃないのよ!」
縁壱には二人の関係が益々わからず唖然としている
一ノ瀬「まゆよ、被っていた一万匹の猫が三分の二になってしまったようだが、それ以上本性がでたら離婚されないか?大丈夫か?」
まゆ「縁壱さーん!この性悪陰陽師が虐めるぅ〜!まるで私が性格悪いみたいに言うのぉ〜」
まゆは縁壱に抱き着き、ヨシヨシと頭を撫でられている。そして思う『私は一万匹も猫を被っていたのか』と…。哀れ、一瞬だけだったがショックで半分白目を剥いてしまったのだった
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