第14章 ある日の番外編【娘の祝言】
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黒死牟は美月が駕籠で通るであろう場所に立っていた、昨晩の殺奈落の話を聞き「おめでとう」と言いたかったのだ
黒死牟が待ち伏せてから暫くすると美月と複数の気配を感じた。どうやって出て行こうか、縁壱とまゆが居たらどうしようかと思うが、幸いにも二人の気配は無い
黒死牟「緊張してしまうとは…柄にも無い…」
考えているうちに美月の乗った駕籠が着てしまい焦る。しかしこれを逃したらもうチャンスは無いだろうと駕籠の前に飛び出した
駕籠者「何者!」
黒死牟は駕籠者を無視して美月に話し掛ける。言えなかった想いを伝える為に…
黒死牟「美月っ!!」
駕籠の外で聞こえる声。それは美月にとって呼吸の師範であり、大好きな伯父だった。もう会えないと思っていた伯父が来てくれたのが嬉しくて堪らず、ゆっくりと置かれた駕籠から出て黒死牟の前に立つ
美月「伯父様っ!!」
駕籠者は、なんだ親戚かと思い黙って見ている。美月が黒死牟に抱き着くと黒死牟も抱き返した
黒死牟「美月、綺麗だ…」
美月「来てくださったのですね、嬉しいです!」
角隠しが少々邪魔だが何せ今から嫁入りなのだ。この場合は仕方ない
黒死牟「昨日言い忘れた事があってな…結婚おめでとう、どうか幸せに…私とまゆの様にはならないでほしい。これだけ言いたかったのだ」
美月「ありがとうございます!!絶対幸せになってみせますから!私、嫁入り道具で伯父様から頂いた日輪刀持って来たんですよ♪」
黒死牟は『嫁入り道具に日輪刀とは…日本中を探しても美月ただ一人だろう』と思ったら妙に楽しくなったのか、堪えきれずに笑ってしまった
黒死牟「ブフッお前位だろうな、日輪刀を嫁入り道具にするのは…フフッ」
美月「むぅ…もしもの時に大切な人を守る為です!伯父様に教えていただいた月の呼吸と頂いた日輪刀、それは私の戦う術ですから!」
黒死牟は美月の言葉を聞いて心に誓う。煉獄家の周りには決して鬼など近づけさせまい、美月を戦わせまいと…
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