第12章 縁壱の娘と素敵な伯父様
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黒死牟「私は…独り身故に若く見えるのだろう…」
美月「あー、なるほど!お嫁さんって煩いですもんね!お母さんなんか私が女の子らしくないからって、いっつも怒って独り言みたいに言ってる癖に『も〜縁壱さんったら私の話聞いてるのぉ!?』とか年がら年中お父さんに絡んでますからねwww」
情景が目に浮かぶと同時に悔しさが込み上げて来る
本来なら私が縁壱の立場だったのだ
しかし、美月には決して言うまいとグッと堪えた
黒死牟「そうか…目に浮かぶようだ、お前の母はいつも騒がしかった…つまらない事で一喜一憂して酒を大量に飲んで酔い、愛らしい顔で甘えてくる…」
美月「お母さんは酒乱なんですね、わかります」
まゆは相変わらずの呑助か…ん、待て………二人共元気?縁壱はとうに死んでいる筈。しかし剣術を父に習っている?頭が混乱しているのか、正常な判断が出来ない
まゆは私との約束通りに、鬼殺隊を辞めていたら生きているだろうとは思う。しかし美月の年齢から言って縁壱の子でもない筈だが…
痣者は二十五歳を迎えられずに死ぬのだから。だが、美月の話によれば縁壱は生きている…?
美月「黒死牟伯父様どうしたのですか?具合でも悪いとか…雨の馬鹿ぁー!!」
黒死牟「あ、いや…すまぬ…。ところで兄妹などは居るのか?」
一瞬、目の前の少女の顔が曇ったのを私は見逃さなかった。美月にとっては地雷だったのだろうか…
美月「一人っ子です。でも父と母が一緒になる前に其々伴侶が居て、其々お子さんが居たようなんですが二人共亡くなったそうです。父に至っては身重の奥さんが盗賊に襲われ母子共に…」
縁壱の話は知っているが鬼の事は言ってないのだな…
あの子はどうして亡くなったのだ?まゆと私の大切な子は何故…
黒死牟「そうか…まゆの子は何故?」
美月「母については詳しく聞いていません。旦那さんは失踪したとかで、その後に何かあったみたいなんですけど…前に詳しく教えてって言ったら母が泣きだしちゃって、父に怒られました」
恐らく美月はまゆの前の夫が私だという事を知らない。私も言わない、言ってしまったらまゆを今でも愛していると美月に告げてしまいたくなるだろう
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