第11章 痣者の宿命と妻の正体
・
父と母の言葉に安心したのか、美月は母の胸に勢い良く飛び込んでいった。まゆはニコリと花が咲いたように笑い、可愛い我が子を受け止めた
まゆ「ほらほら泣かないの、可愛い顔が台無しだよ!」
美月「うん!美月はもー泣かにゃい!お母しゃんのご飯楽しみっ!」
縁壱「そうか、ならばお父さんが抱っこしよう。お母さんは朝餉の準備で忙しい」
朝餉を食べ終え、片付けをしようと席を立つまゆを美月が呼び止める
美月「お母しゃん座ってね、美月からお話があゆの。お父しゃんも聞いててね」
まゆ「ん、なぁに?」
縁壱「ん?」
縁壱とまゆには何の事やらわからないが、可愛い我が子の真剣?な話に付き合おうと座り直した
美月「お母しゃんはもー、ご病気大丈夫なの。だかりゃね、お父しゃんを返してほしーのっ!」
父と母の困惑を気にもせずに美月は続ける
美月「美月はね、大きくなったりゃお父しゃんのお嫁しゃんになるかりゃ!」
美月の話とは、お父さん大好き娘のあるある話だった。縁壱は美月の言葉に口元が上がってしまうが、まゆは美月の言葉に間一髪入れずに反論した
まゆ「お母さんはどうするの?」
美月「別れたらいーよ!美月のお父しゃんだかりゃ」
『何でやねん!』と心の中で突っ込むまゆ
まゆ「うん確かに美月の、お・と・う・さ・ん!だね。お母さんには旦那さんだけど!親子は結婚出来ないのよ?」
美月「えーっ、お父しゃんほんと?」
縁壱「あぁ、お母さんの言う通り、親子は結婚できない。それに、お父さんのお嫁さんは世界でただ一人…美月のお母さんだけだ」
まゆは紅くなる顔を両手で押さえ、パタパタと畳の上をのたうち回っている
美月「お父しゃんが言うなら仕方にゃい、お母しゃん!仕方にゃいから諦めてあげりゅわ!」
まゆ「随分あっさりね…」
縁壱「お父さんがお母さんと愛し合っているように、美月が大きくなったら愛し愛される男が現れる。だから良い女になるのだぞ?」
美月は考える『良い女とはなんぞや?』と。まゆも考える、夫には私が『良い女』に見えているのかと…
・