第11章 痣者の宿命と妻の正体
・
まゆ「もぅ喉カラカラだよ…」
縁壱「ふっ、可愛かったぞ?さて、今夜は眠れそうにないな…美月が起きる時間だ」
衣服をモソモソと着だす二人、着替え終わるとまゆは台所に立った
縁壱「無理をするな」
まゆ「無理なわけないでしょう!心配し過ぎよ(ところで何に対しての心配なのかしら…?)」
縁壱が心配しているのは、両方の意味で身体の心配である
少しでもくっついていたい縁壱は台所で朝餉を作り出すまゆを後ろから抱き締め、顔を頬にピッタリと寄せている
縁壱「ヤリ過ぎたかと…まゆが魔族に戻ったばかりなのに…嫉妬が過ぎた。すまぬ…」
物理的な疲れなどあまり感じた事の無い自分が、魔族とはいえ疲れを感じるまでに抱いたが故に幾分心配だったのだ
まゆ「大丈夫よっ!でも嬉しいわ♪それだけ私を愛してるんだもんね♡」
縁壱「あぁ、愛してるよ。まゆ…」
縁壱はバックハグのままでまゆの顔を自分に向かせ、甘く深い口付けを交した。その直後に可愛らしい足音がパタパタと居間に近付いてくる
美月「お父しゃん今日の朝餉はぁー?お、お母しゃん…」
美月が起きてきたようである。ビクッと身体を揺らす二人は平然を装い美月に朝の挨拶をする
縁壱「おはよう」
まゆ「おっ、おはよう!美月、今日からまたお母さんがご飯作るからね♪」
美月「……………お母しゃ、ん…」
美月の目から大きな涙がポロポロと溢れだし、縁壱とまゆは『可愛い我が子を不安にさせてしまった』と、心臓をグッと掴まれたかの様に胸が痛くなったのだ
美月「うっ…」
まゆ「おいで、美月」
美月は何かを我慢するようにその場から動かなかった。ここ半年弱、床に伏せて日に日に弱っていく母しか見ていなかったが為に、子供ながらも遠慮しているのである
縁壱「美月、お母さんはもう大丈夫だから、こっちにおいで」
まゆ「美月が良い子にしててくれたおかげでお母さんね、病気治って元気になったよ!ありがとうね!」
美月「おっ、お母しゃーん!!」
・