第11章 痣者の宿命と妻の正体
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縁壱は話を相槌を打ちながら聞いている。その間もまゆの髪を撫で、顔を寄せていた
まゆ「光と闇を持ち、復活・再生・治癒を司り、遥か古より存在する…」
縁壱「そのような存在が何故人の世へ…」
優しく、優しく問いかける
まゆ「前提として神魔は本来、人々に知恵を授け見守る存在。時には人界の魔物や人に悪さをする神々を制圧したりして世界のバランスを保ってきたのよ。でもね、神魔戦争の引き金になるからと、デタント(冷戦)にあたって規約が作られた…」
縁壱「どのような規約を…?」
人だ、魔物だなどと最早どうでも良かった。知りたい、もっとまゆを知りたいと云う想いが縁壱の心を埋めつくす
まゆ「人界で生まれた魔物などには私達の様な最初からそういう存在だった者は直接手を下してはならない…魔王級は人界に降臨自体問題だったのよ。だから、私は抜け道を考えた…人になれば良いと!」
縁壱「そうか…」
縁壱はまゆの目から溢れだした涙を指で、そっと涙を拭う
まゆ「どうしても嫌だった。人々が鬼に、魔物に喰われて亡くなるのが嫌で胸が苦しくて…守らなきゃって思って…我々魔族や土着の神々が何とか動こうとしたけど規約が邪魔をした」
縁壱「ん…………」
まゆが縁壱にしがみつき、想いを吐露した
まゆ「何とかしようと思ってる神々も手が出せないのはわかるのよ…。降臨して無惨を打つのが許されないならばと、私が人界に来る少し前に天照と月詠が、とある双子に加護をかけたの…」
縁壱「……………!(日と月…私と兄上ではないか…)」
縁壱は察した。その双子は自分と兄、巌勝なのだと。まゆは続ける
まゆ「天照は上手くかけた。でも月詠は天照と会った事で暴走してしまったのよ。悪い子ではないのだけど私情が入ってしまうとね…。察しの通り、縁壱さんと巌勝さんが加護の対象だったわ」
縁壱「そうだったのか……」
縁壱は思う『やはり、私と兄上は鬼舞辻無惨を打つために産まれてきたのだ…』と。皮肉な事に兄は無惨に付いてしまったが…
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