第11章 痣者の宿命と妻の正体
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その時、身体の痛みを訴え出してもがき始めた
縁壱「まゆ!!まゆ!!」
まゆ「ゔぐぁっ!あ"ぁ"ぁ"ぁ"!」
まゆが声にならない叫びを上げると同時に身体から噴き出したのは黒く禍々しい瘴気と、そして暁の様な眩い光だった
縁壱「これは一体…!?(まゆから時々感じていた力…しかし、今までとは比べ物にならぬ!圧しつぶされそうだ…)」
まゆ「ぐぅ…ゔぐぁぁぁぁぁ」
その瘴気と光は一瞬まゆと縁壱を飲み込み、次の瞬間には二人を中心として魔法陣が現れた
縁壱「なっ………………(まゆに何が…!?)」
まゆ「つっ………………(そうだ…私は…)」
魔法陣が収束し瘴気と光が混ざり合い、共に吸い込まれるようにまゆの体内に入っていく
そして、縁壱の腕の中で目覚めたのは…
まゆ「……………」
縁壱「まゆ…なのか?」
何と、瞳を真紅に染めたまゆであった。顔色は元に戻り、その真紅の瞳は縁壱を静かに見据えている
まゆ「縁壱さん、私は人じゃなかった…」
縁壱「何となくまゆからは人ならざる者の気配を感じる事があったが、まさか真に人ではなかったとは…」
そこで縁壱は思う。妻は何者なのかと…
まゆ「そっか…私は生きてる。でもね、どっちにしろ一緒には居られな…」
縁壱「すまないがまゆの事を教えてくれるか?」
縁壱は自分の腕の中が退こうとするまゆの言葉を遮って言葉をかけた
まゆ「えっ…でも私は人ではないのよ?」
縁壱「まゆはまゆだろう。今夜中にも死ぬ筈だった私の妻は確かにここに居て生きておるのだ。絶対に離すものか!人では無かろうが私から離れる理由にはならぬ」
戸惑いを見せるまゆを縁壱は一層強く抱き締める。珍しく表情をはっきりと見せた様子に観念したのか、まゆは自分の事を話し始めた
まゆ「私はソロモンと云うものに属する魔王の一柱であり、地獄を統べる魔王でもあるの…」
縁壱「ん…」
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