第11章 痣者の宿命と妻の正体
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まゆ「うん…ねぇ縁壱さん?私には、どれだけの時間があるのかな…」
縁壱「その様な事を考えるものではない。大丈夫だから私と一緒に美月の成長を見届けよう…」
まゆは縁壱の言葉にニコリと笑い首を縦に振った。気休めなのはお互いにわかっている。しかし言わずには居られないし、うんと言わずには居られないのだった
その日から二ヶ月の間は、ちょこちょこ起きて縁壱と会話をしたり美月と遊んだりしていた。しかし二ヶ月を過ぎた頃には一日の大半眠って過ごす事となる
縁壱「本当に眠っているだけなのだな…」
縁壱はまゆの体内を視ようと布団の脇に座り、透き通る世界を使う。しかし、目を見開き絶句した
縁壱「…………!?」
まゆの体内が視えないのだ。力を失くしたのかと美月を視るが、しっかり視えている
縁壱「何故だ…?」
美月「むっ?変なお父しゃん!」
それから毎日、美月を寝かし付けた後にまゆの体内を視ようとするが何も視えなかった。否、体内を視ると日を追う毎にまゆが黒みがかって視えて来るようになったのだ
縁壱「日に日に黒く視える…おかしい…」
まゆ「縁壱さ、ん…どうし、たの?」
まゆはもう、話すのも辛いし全集中常中は完全に切れてしまっている。即ち、時間が残されていない事を示していた
縁壱「あ、すまぬ…起こしてしまったな」
まゆ「大丈、夫だよ…ねぇ、抱っこし、て…おね、がぃ…(きっと私は今夜…あーあ、もっと一緒に居たかった。美月の花嫁姿を見たかったよ…)」
まゆは何かを悟ったかのように抱っこをせがみ、縁壱は了承した
縁壱「あぁ、わかった…(いよいよか…)」
まゆ「縁壱さ、ん…再、婚して、も良いからね…美月を大事に、して、くれる人な、ら…」
縁壱はまゆに優しく微笑みかけると、抱き締める腕を強めた
縁壱「馬鹿な事を言うな。まゆは私の最後の妻であり女だ(元々、私には過ぎた幸せだったのかもしれぬ…)」
まゆ「ありが、と…美、月をよろ、しくね…うっっ身体がっ痛ぃっ」
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