第10章 番外編ー黒死牟ー
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確かにまゆは早い、しかし勝ち目はあるのか…?
いざとなったら私が橘を…と構える
まゆ「一々五月蝿いわねぇ。冥魔槍(ヘルブラスト)」
橘「力が抜けて…一体何したのよ」
へるぶ…ん?よくわからんが黒い槍が橘の頭上から放たれた
まゆ「全ての生き物の活力を奪う呪文でね、この術はあらゆる力を打ち消すのよ。気分はどうかしら?もう、お前は血鬼術も使えないわ」
橘「貴様っ!上弦の鬼を舐めるんじゃない!こんなもの直ぐに打ち破ってくれる!」
放った技は血鬼術とは違うようだな…第一、血など流していなかった。まゆはどうしたというのだ、口調も変わっておるではないか
まゆ「それはこっちの台詞。雑魚が最上級魔族舐めんじゃないわよ。それではバイバーイ♪雷撃破(ディグ・ヴォルト)」
まゆが魔族…私に制約を掛けたのはお前なのか?だとしたら私の中に在るお前の気配は…
橘「えっ…ギャァーーー!!」
まゆが突き出した手から雷のようなものが放たれたと同時に、橘が発火し消滅した。私の感じていた疑問が全て一本の糸で繋がる
まゆ「びっくりさせて悪かったわね…」
黒死牟「いや…私はお前に護られてたのだな…」
私がそういうとまゆは申し訳なさそうに、私が鬼となった晩の事、自分の本来の立場などを説明してくれた
まゆ「前提からすると私は魔王の一柱として数えられる。人界が無惨によって脅威に曝されているのが嫌で人界に産まれて来たの。魔族のままじゃ直接無惨に手を下してはいけないから…神魔の規約が面倒でね…」
黒死牟「そうか…」
自慢じゃないが、私は女性が喜ぶ言葉を巧く紡げる方ではない。それ故、今の状況では尚更無理だった
まゆ「…聞きたくなかったらごめんなさい」
黒死牟「何故謝る。しっかり話を聴いておる。だから続けてくれ。なっ、まゆ…」
頬を撫でてやると、やっと微笑んでくれた。やはりまゆには笑顔が良く似合う
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