第10章 番外編ー黒死牟ー
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走っている最中にまゆが薄っすらと目を開け、私を見てヘニャっと笑ったかと思うと、また寝てしまった
愛い…ひたすら癒やされる
しかし気配が鬼ではないような…
黒死牟「人でもない…?」
私の中にあるまゆの気配…だが、何かと混じっている様に感じられる。それが何かは分からぬが、人のものでないのは確か…
あっと言う間に無惨様の屋敷に着いた私はまゆを抱えたまま正座をした。既に他の上弦は集まっている
上弦の伍・橘「あらぁ〜黒死牟様、今日も目麗しいわ♡その小娘はだぁれ?」
五月蝿い話しかけるな。まゆが目覚めた時に誤解されたらどうする?この場で斬り捨ててやろうか…
まゆ「うーん…ふぁ〜」
黒死牟「まゆ!」
橘「黒死牟様ったらぁ〜小娘など放っておいて、私に構ってくださいな」
橘が私の腕に絡み付いて離れない。誤解されるのも嫌だ、そして気色悪い。私はいつも通りその手を振り払い、他の上弦に向けて投げ飛ばした
大体が誰が小娘なのだ?まゆは愛らしくも美しい大人の女性だぞ、愚か者が
まゆ「……貴方誰?私は多分、まゆって名前だと思う」
やはりまゆは私を忘れていた
だが離してなどやらぬ
黒死牟「私は黒死牟と言う。まゆの夫であり、お前を鬼にした…」
まゆ「だからかぁ〜知ってる気がするし抱っこも嫌じゃない…ふふっまゆの旦那さんは超格好良いんだね〜♡」
★まゆは今現在、鬼の細胞を魔族因子が少しずつ喰らっている最中で、中途半端に魔族として覚醒。名前と魔族である事はわかっていますが、人間時代の記憶は飛んでいます。そして少しお馬鹿です
橘「この小娘がぁ!黒死牟様は私のものよ!」
黒死牟「断じて違う。私が生涯愛する女はまゆだけ…もうすぐ無惨様がお見えになる。橘、何故こちらに戻ってくるのだ、とっととあちらへ行かぬか」
まゆは「だって♡」と言い、私の胸元に頬を擦り付けてくる。その仕草に私の鼓動が速くなるのを感じ、一瞬見惚れてしまった
恐らく今の私の顔は、上弦の壱としての威厳もへったくれもないだろう。無惨様がいらっしゃるというのに…
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