第9章 手が届く
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縁壱「まゆは強いな…頼もしい奥さんだ」
まゆ「そんな事は…まぁ、雑魚鬼だったから良かったよ。相手が十二鬼月だったらヤバかったかもね…」
少し涙目のまゆが私を見上げた。やはり怖かったのだろうな…
縁壱「それでもだ…。奪わせないのだろう?まゆと美月は私の宝、私も奪わせはしないと誓おう」
鬼殺隊を辞めると言ったら怒るだろうか。まゆの性格を考えれば、恐らくは怒るだろうな…
まゆ「縁壱さん…私、我儘と昼間との矛盾を言うね。鬼殺隊辞めてほしいの。貯えは私のと巌勝さんのが手付かずであるから
…」
縁壱「良いのか…?」
まさかまゆから言い出すとは思いもよらず、私は目を見開いた
まゆ「私は例に漏れずに二十五を超えられないのは知ってるよね…だからお館様は采配を考えてくださってた。でも四六時中いてほしい、私の最期の日まで…」
縁壱「私から言おうと思っていたところだ。まゆと美月と四六時中共に居る事を誓おう」
痣が出た日から、ずっと心細くて怖くて堪らなかったのかもしれない。きっと兄上も…
【その頃のうた】
うた「鬼灯様ぁ、ありがとうございました!」
鬼灯「いえいえ、心残りが無くなって良かったですよ」
うた「全く意気地がねぇだよ縁壱さはっ!まゆちゃんは守られて嬉しい子じゃねーだよ。何年も一緒に居て分かんねもんかねぇ…女心に疎いのが縁壱さの難点さぁー」
鬼灯「まぁまぁ、貴方の言いたい事は分かります。まゆさんは本来は私達よりも、ずっと上の存在…あの方は昔から自分が守りたい派でして、非常に面倒くさい方なんですよ。そんな所で個性を出さなくても良いのに!」
などとまゆ達は言われ放題だったとさ。因みに、縁壱に声を届けられたのは、魔神アシュタロスが開発した『死者だけど生者に声を届けよう君』を使ったからである
鬼灯「と、言う事でお話を現世にお返しします!」
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