第9章 手が届く
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私は縋りつくようにまゆを抱き締めて思いを口にする。震えが止まらない
縁壱「知らせを受け、また失うのかと怖かった…すまない、まゆと美月にも怖い思いをさせてしまった…」
まゆ「それは私が任務行ってって言ったから…縁壱さんは側に居てくれようとしたよね。私の浅はかな考えで怖い思いさせてごめんなさい…」
まゆの手が私の頬にそっと触れた
縁壱「それでもだ…また愛する人を守れなかった」
まゆ「私も美月も生きてる。あのね、私は守られようなんて思ってない!これからは一緒に美月を守るの、育てるの!」
一瞬鋭く私を睨み、不敵な笑みを見せるまゆが、とても美しくて目をそらせない
まゆ「私を誰だと思ってるの?鬼殺隊の元、光柱よ!雑魚鬼程度に私の大事なもんを奪わせるわけないでしょう?それは縁壱さんの心もなんだよ、二度とあんな思いさせないっ」
縁壱「まゆ…」
お前のその強さに何度救われた事か…
まゆ「ほらほら!そんな悲しそうな顔してると、うたさんとお子さんに怒られちゃうよ?」
縁壱「うたに…?」
天の声とは言ったものだが…
耳を通して聞こえてくるのではなく、うたの声が私の脳内に響くのだ。こんな事があるのか…?
『縁壱さがそんなんじゃオラは死にきれねぇべさ!守るだの守れなかっただのじゃねーさ。嫁さんと寄り添って生きるだよ!』
あぁ、そうだな…うた、すまなかった…悲しむのはこれで最後にするよ
『わかったらビシッとするだ。そんで、自分の子を産んでくれた嫁さんに言う事があるべ!』
私はまゆと子供を失うかもしれない恐怖で、一番大事な事を忘れていたのだな…
まゆ「縁壱さんったらボーッとしてどうしたの?」
縁壱「まゆ、私の子を産んでくれてありがとう…生きててくれてありがとう…愛してる。」
うた、私はもう大丈夫だ
ありがとう、だからどうか安らかに…
まゆ「うっ…///わっ、私も縁壱さんを愛してるよ///」
縁壱「本当に良かった…これからも一緒に居てくれ、一緒に美月を育てよう」
まゆは眉毛を下げて微笑み、私も自然と笑っていたように思う
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