第9章 手が届く
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まゆは後ろに飛びながらの月魄災禍を仕掛ける。今の状態では光の呼吸の踏み込みは怖くて出来ない、故に前動作の要らない月魄災禍で応戦したのだ
鬼「うぐっ、腕が!チクショーっ骨も遺さず絶対喰ってやるからな!」
まゆ「お前如きに殺られる私ではないからぁー(とは言ってもジリ貧…)」
鬼はまゆの腹を目掛けて飛びかかって来るが、影縫いで動きを止め、次の技を繰り出すが影縫いが直ぐに解けて避けられてしまう
まゆ「月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮」
鬼「うへっ、当たらなきゃ意味ねーよな」
まゆが大きなお腹を抱え、必死に鬼と闘っている頃。鷹男から陣痛と鬼の事を知らされた縁壱は今までに無い速度で走っていた
縁壱「頼むから間に合ってくれ…(もう嫌だ、神よ私から妻と子を取り上げないでくれ!)」
走っている間にも強烈なフラッシュバック。脳裏に浮かぶのは、鬼により腹を裂かれた妻と掻き出された我が子の姿だった
縁壱「まゆ!!居なくなるな!!」
遠くには鬼と闘っている気配があり、胸を撫で下ろすが走る速度は変えずに突き進む
縁壱「鬼殺隊の者か…(誰でも良いから頼むっ)」
鬼「喰う喰う喰う喰う喰うぅぅがぁぁぁぁぁ」
まゆ「戯けが…日の呼吸 ・ 碧羅の天 !! (赤ちゃんがすぐそこまで来てるってばよぉぉぉ!あっ、お漏らし…)」
腹から『プチッ』と何かが破けた様な感覚がしてまゆは一瞬だけ怯むが、鬼の頸を落としきった。まゆは漏らしたと思っているが、これは破水というもので、赤ちゃんを包む膜が破けて羊水が漏れ出したのである。生暖かい水がまゆの太腿を伝う
鬼「頸が、俺の頸がぁぁぁ」
まゆが鬼の頸を斬る少し前。屋敷まであと少しのところ、縁壱は闘っている者の気配をはっきりと感じとれた
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