第9章 手が届く
・
まゆ「私の旦那さんはそんな人です♪」
縁壱「私の奥さんは努力家で負けず嫌いで剣術が強い、それでいて顔も仕草も声も愛らしくて優しくて…甘えん坊でよく笑う子、だな」
縁壱が言い終わるとまゆは気恥ずかしそうに「もぉ縁壱さんったら上手いんだから」と、そっぽを向いてしまった
縁壱は「愛しい奥さん、こちらを向いていただけませんか?」と言いながらまゆの顔を自分に向かせ口付けを落とした
まゆ「そ、そんなの狡いっ!」
縁壱「すまない、だが私とて愛する妻にそっぽを向かれては寂しいのだ。私は無意識にでもまゆを見つめてしまうというのに…」
縁壱の手がまゆの耳の裏から首筋を行き来する
まゆ「ふぁっ…眠くなっちゃうよ…今日こそ夕餉作りたいのにぃ」
縁壱「このまま寝てしまえば良いではないか。いつも言っておるだろう?腹の中で子を育てているだけで疲れてしまうのだ、家事は私がすれば良い」
まゆは結婚以来、あまり食事の準備をしていないどころか家事全般していない。縁壱が身重のまゆを気遣い、全てやってしまうので一日中布団でゴロゴロしているのであった
まゆ「何か悪いよ…」
縁壱「悪くない。まゆの仕事は心安らかに過ごして、しっかり飯を食い、腹で赤子を育てる事。それは男には出来ぬが、家事は私でも出来るのだから気にするな」
産前産後はとても疲れやすく、人によってはホルモンバランスが変わる事により精神も安定しなかったりと、妊娠前とは色々変わってくるのだ
まゆ「……縁壱さん、好き好き愛してるっ♡ずっとくっついてたいよぉ〜」
縁壱「私もだ、愛してるよ…」
まゆは、一体どれだけの食べるの!?という勢いで夕餉を食べている。悪阻が終わってから非常に食欲旺盛なのだ
縁壱「食欲が旺盛なのは良いが喉に詰まらすなよ?」
まゆ「だってさ、縁壱さんのご飯超美味しいんだもん!それに悪阻が終わってから、食べても食べてもお腹空くのっ♪」
これだけ食べても体重は今のところあまり増えていない。痣者故、常に体温が高く代謝が良いらしい
縁壱「生命を宿した身体は不思議だらけだ」
まゆ「だね〜♪」
・