第9章 手が届く
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その後は和気あいあいと楽しく食事をしていた。縁壱は自分の膝を枕にして寝ているまゆの髪を時々撫でては、愛おしそうに見つめ微笑んでいた
政孝「うーむ、まさに新婚さんだな、羨ましい限りだ!」
百合「あら、結婚何年経とうが子供が居ようがしたら良いのですよ!今夜膝枕お願いしますね、あなた♪」
政孝「うっ…百合がしてほしいならば…しかし、少々気恥ずかしいな…」
こうして二人の結婚の挨拶は無事に終了したのだった
縁壱とまゆの結婚から二ヶ月あまりが経過し、お腹も大分目立ち始め、胎動も感じる位になっていた
まゆ「あっ、縁壱さん!今ね、赤ちゃんが蹴ったよ♪」
縁壱「ん?どれどれ…ふふっ、どうやら指しゃぶりもしておるようだ」
縁壱は透き通る世界で赤子を視ているらしく、赤子の動きをまゆに報告していた。その表情は非常に柔らかく、既に父親の顔だった
まゆ「もう指しゃぶりするんだね♪赤ちゃんに会えるのがすっごい楽しみ!男の子でも女の子でも縁壱さんに似たら美人さんだね♪」
縁壱「あぁ、楽しみだ。私はまゆに似た可愛い子だと思うぞ」
縁壱は寝転ぶまゆの腹を撫で顔を寄せている。少し複雑な表情をしているのはまゆの気のせいだろうか
縁壱「どうしてこんなにも愛おしいのか…私はこの子を嫁にやれるのだろうか…」
まゆ「そうだね〜…ん?縁壱さん、お腹の子は女の子なのね?」
透き通る世界で見て赤子の性別がわかっていた縁壱が、ついうっかり口を滑らせてしまった。若干気まずさを感じ、少しの間黙り込んだ
縁壱「……………うむ」
まゆ「そっかぁ、女の子か〜。私みたいに素敵な旦那さん掴まえられると良いね♪」
まゆは、捕まえるでも可とか何とか言っていたが、縁壱は触れない方が良いと判断して話を戻した
縁壱「素敵な旦那か…それはどんな男なんだ?」
縁壱の問にまゆは頬を紅く染め、照れながらも即答する
まゆ「強くて逞しくて優しくてぇ〜、背が高くて美丈夫で!でも一番はやっぱり一途に愛してくれる事!えへっ///」
縁壱「そうか、何か照れるな…」
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