第8章 運命か必然か
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それからまゆは給金の関係で縁壱と月に一度会うようになり、初めて届けた時から三年の月日が流れていた
まゆ「大雨だなんて聞いてない!」
縁壱に給金を届けに行く途中で大雨に降られズブ濡れになってしまっていた。まゆは寒さでガタガタと震えながらも傘を握り走って日柱邸に向かうのだった
まゆ「傘がぁぁぁぁ!!」
風と雨の勢いが強く傘がひっくり返り、衛星放送になってしまった為に使い物にならなくなってしまっていた。やっとの思いで縁壱の屋敷に辿り着くなり、雨音に負けないように大音声で縁壱を呼ぶ
まゆ「縁壱お兄様ぁー!給金を届けに参りましたぁ!寒いから早く開けてぇぇぇ」
ガチャリと木の内鍵が開く音と共に縁壱が顔を出した。まゆがズブ濡れで来るのを予想していたのだろうか、手には手拭いを持っている
縁壱「大雨の中すまない…先に風呂に入りなさい」
まゆ「はい!流石は縁壱お兄様♪」
縁壱はまゆを招き入れると風呂に入るようにと言う。当然、まゆの着替えは無いので縁壱の肌襦袢を着せた。三年の間何度か交した会話で、これは雨でどうしようもない時のやりとりである
縁壱「泊まって行くだろう?」
まゆ「泊めてくださるとありがたいです!これじゃ帰れませんから(汗)」
雨の時は必ず泊まる、これもいつものやり取りだった。そして昔のように一緒に眠りにつくのだ
まゆ「ねぇ縁壱お兄様…私、痣が出ました…」
縁壱「痣?額や頸には無い様だが…」
縁壱はまゆに痣など出してほしくなかった。自分は生まれつき故の例外、きっと例に漏れずまゆは二十五歳を迎えられないと思っているからだ
まゆ「胸の下からぐるりと背中を通って、まるで龍が巻きついているような痣です」
まゆは「見ますか?」と辛そうに笑っていた。行燈に照らされて色付く白い肌と潤む瞳、自分の襦袢を緩く着ている姿。その全てが縁壱の雄部分を我慢出来ない程刺激する
縁壱「まゆ…」
まゆ「縁壱お兄様?」
卑怯な事だと知りながらも、縁壱はまゆを布団の中で抱き締めたまま口を耳元に寄せて甘く囁く
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