第8章 運命か必然か
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まゆ「ですが!」
朔也「あのね、私は…まゆ!?」
縁壱「まゆ!!」
縁壱が腹を押さえて蹲っているまゆに駆け寄った。じわじわとまゆの袴が血で紅く染まり、産屋敷邸の畳も染まっていく
まゆ「あっ…嘘よ…私と…巌勝さんの赤ちゃんが…」
短い袴の隙間から止めどなく流れる血、その状態で赤子が助かるわけも無い。まゆは夫を鬼にされた挙句に赤子も奪われた絶望の中で泣き叫び「全てを奪われた」と言い残し気絶してしまい、柱達は衝撃のあまりに立ち尽くして声も上げられなかった
縁壱はまゆを抱き抱え、嗚咽をもらしながら涙をな流している。その顔は縁壱が妻と子を亡くし、透寿郎が見つけた時の顔と同じだった。やがてまゆは朔也の指示で医者を呼び、隠により治療部屋へと運ばれていく
縁壱「私のせいだ、何もかも…私は好きな女子一人守れないのか…」
隼人「それは違うぞ、縁壱。自分を責めるな、前を向け!」
隼人は縁壱の肩に手をやり励ましたが、縁壱は下を向いたまま動けないでいた。朔也は『縁壱を早く休ませてやりたい』と思い、完結に話を纏めで話していく
朔也「皆、そのままで良いから聞いてほしい。結果から言うと、縁壱の処分はしない。下の子達に示しがつかないから表向きは鬼殺隊追放とするけど、今まで通り仕事もしてもらう、扱いも柱のまま。今までと違うのは本部に来ない事だけ…いいね。縁壱、これからもよろしく頼むよ」
『縁壱の処分は表向きだけ』という結果に終わり、その場に居る者達は胸を撫で下ろす。しかし縁壱とまゆの心の傷の深さを考えると、自然と気持ちが沈んでいってしまうのだった
縁壱「あ、ありがとう…ございます…」
冴島「お館様、縁壱殿には暫く休養が必要かと思います」
緑野「その間は私達で何とか致します故、どうか縁壱に休養を!」
朔也「うん、それは私も考えていたよ。だからね、一週間の休暇を取らせようと思うんだ」
酷く傷付いた心に朔也と同僚達の優しさが、胸の奥まで染み渡っていくのを感じて、縁壱は今度こそ泣き崩れてしまったのだった
縁壱「皆…」
縁壱は一週間でまゆには無期限の休暇が決まり、裁判及び緊急柱合会議を終えたのだった
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