第8章 運命か必然か
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まゆは医務室に運ばれ、手当を受けて眠っている。魔力による治癒のおかげか身体に一切傷はないが、その後も丸一日眠っていた
まゆ「んんー…亀ちゃん…」
浦太郎「まゆちゃん気分はどう?」
まゆはハッキリしない頭で考える。あれ程の怪我で何故一日で傷が治っているのか、痛みがないのも理解出来なかった。そして赤ちゃんは無事なのかと…
浦太郎「今日ね、緊急柱合会議で日柱様が裁判にかけられるみたいでね、でもっ、あぁっ最後まで人の話をって…あーぁ行っちゃった…」
まゆは身重の身体で産屋敷邸に向かって走る。縁壱は何も悪くないのだから処罰など受けてはならぬと…
後少しで着くという時、産屋敷邸では全てを見ていた鷹男が朔也に事情を説明をしていた。縁壱は結果に身を委ねようと黙って聞いている
縁壱「……(うたの敵も討てず私は死ぬ…罰だ、私が兄上と代わりたいと思ってしまった、まゆが欲しいなどと欲を持ってしまったから…)」
鷹男「ダカラ巌勝モ嬢チャンも悪クナイ。勿論、縁壱モ悪クナイ。ヨッテ寛容ナル結果ヲ望ム」
産屋敷朔也「鷹男さんの話はよくわかった、ありがとう。では…」
朔也が裁判の結果を縁壱に言い渡そうとしたその時、まゆが到着し、朔也に跪く。朔也を始め、縁壱を含めた柱達がまゆの登場に驚いていた
縁壱「まゆ…」
まゆ「お館様、申し上げます。私が弱かった故に鬼舞辻無惨に月柱・継国巌勝は鬼にされてしまいました。故に処分を受けるべきはこの私しでございます!」
朔也「まゆは決して弱くないよ、鬼舞辻が化け物なのは私にもわかるから…だから縁壱とまゆが鬼舞辻を取り逃がしたのも処分対象ではないし、処分する気も無い。問題は一緒に居たもう一体の鬼を鬼舞辻から逃したからなんだよ」
まゆ「縁壱さんは何の考えも無しにそのような事を致しませぬ(お腹痛い…)」
朔也「うん、そうだね。それを考慮した上での処分をするんだよ。わかってくれるね?」
柱達「…………(誰も悪くないではないか…)」
誰も彼も顔色が優れない。縁壱は誠実で穏やかで優しく、非の打ち所も無いような人間像を具現化したような男。皆が信頼を寄せているのだ
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