第8章 運命か必然か
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まゆ「待ちなさいよ(マズイわね…早くリカバリィ(治癒)を掛けなければ赤ちゃんが…!でも、巌勝さんに術を描けないと…)」
無惨「ほう、もう立ち上がれるとは柱とは賞賛に値する。所で何か用か?私は忙しい(やはりこの女は危険だ…)」
普段は真っ黒なまゆの瞳が紅く染まり、振り向いた無惨を睨みつけるとカオス・ワーズを唱える。今のまゆでは三つも同時進行で術を使う事は不可能である為、巌勝を優先で術を使わねばならない
まゆ「お前などに用はない。我、魔族、まゆの名において汝、継国巌勝に我が魔力の一部使用を許可する。代償の名の元に汝に人を喰らえぬ制約を与えん!」
無惨「一体何を…貴様は人ではないのか!(私が感じた危険はこれだったのか!魔族相手など冗談じゃない!早く帰らねばっ)」
無惨は素早くその場を後にした
まゆ「…(下手したら身体も再起不能になるわ…)」
まゆは無惨を追いかけずに魔力による身体の治癒を行い、同時に腹の子へも治癒の力を使った
まゆ「間に合え…(この身体魔力があまり使えない?!全盛期のリナ・インバース位の魔力は持たされている筈なのに…)」
人であるまゆが瀕死になった為の防衛本能なのか、一時的に出て来られただけの記憶であり、人のまゆは魔族としての記憶も持たず魔力の使い方も知らない。その力を使った事がない人の身体、余計に使い辛いのだ
まゆ「くっ…(内包魔力も使えないわよね…でも沢山交わった巌勝さんには内包魔力から供給できる。供給ラインは出来てる筈だから…)」
透寿郎「遅れてすまない、まゆ殿が無事で何よりだ」
鷹男「ブゥルァァァァァ!嬢チャン瀕死!至急医務室ニ運ベ!」
応援に来てくれたが無惨と巌勝は、もうその場に居ない。まゆは声をかけられ透寿郎の方に顔を向けたが、膝を付き気絶してしまった
まゆ「…………(チっ、ここまでか…私と巌勝さんの愛おしい子よ、どうか無事で居て…)」
透寿郎「分かった!紅緒(べにお)、お館様と医療班に報告を。鷹男さん、何が有ったか後で説明を頼む!」
鷹男「了解シタァァァ!ダカラ、モット速ク走レ!!」
紅緒「ワカッタ!」
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