第7章 柱になる
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まゆ「縁壱お兄様は始まりの呼吸を作って、巌勝お兄様は正反対の月の呼吸を作ってさ〜」
縁壱「まゆは正反対の呼吸を結び付けたのだ。それは真に素晴らしい事。嫉妬などせずとも良い」
巌勝「月の呼吸も所詮は派生、羨む事もなかろう。縁壱に嫉妬するならわかるがなっ」
巌勝は縁壱の事が嫌いだ。双子であるのにも関わらず、兄である己よりも優れた弟の存在を憎んでいる。まゆは薄々気が付いてはいるが、やはり自分は入り込めないと思う部分があるらしい
まゆ「何だかんだ仲良いし、私が居て良いのかなとか時々考えるんだぁ」
巌勝「え、いや…(まゆが居なきゃとっくに縁壱の屋敷など出ているわ!縁壱に冷たくすれば、お前が悲しむだろう!?)
縁壱「私の継子になった時に言っただろう。まゆが居ると屋敷に華が咲いたようだと」
巌勝からすれば、まゆが居るから保っている関係なのは間違えなかった
まゆ「私、ここに居ても良い?」
一方、縁壱は巌勝の感情とは反対に幸せを感じている。敬愛する兄が居て、叶うのならば愛を囁きたいと思う程に愛する女が居るのだ。これを幸せと呼ばずに何が幸せと言えよう
巌勝と縁壱は「「当たり前だろう!!」」と、同じ顔と同じタイミングで言った。巌勝は『チっ、被った』と忌々しく思い、縁壱とまゆに見えない様に俯き顔を歪ませた
まゆ「うん、ありがとう!嬉しい♪あ~逆上せたっ」
まゆは随分前から逆上せていたが、巌勝の膝に横抱きで乗せられて肩をガッチリとホールド&縁壱には腰を掴まれている状態で、逆ハ宜しくだったのだ。動くに動けず喋っていたが限界なようだった
巌勝「出るか、部屋まで送ろう。縁壱、私はまゆを部屋に連れて行く。疲れておるだろう、お前は早く寝なさい(漸くまゆと二人きりだ…)」
まゆ「はーい♪」
縁壱「ありがとうございます。おやすみなさい(兄上は本当に優しい方だ…)」
風呂から上がると、縁壱はまゆにも「おやすみ」と言って自室に帰って行った。巌勝はまゆの着替えもしてやり、半ばニヤける顔を我慢しつつも姫抱きで部屋に連れて行く
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