第7章 柱になる
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まゆは風呂場に着くなり脱衣所でクルクル回る。三人で入るのが、よっぽど嬉しいのだろう
まゆ「必殺、脱ぎっ!お兄様方遅いです!早く脱いでください!温泉が逃げます」
巌勝「いいっっっ!?」
縁壱「っ…まゆ、湯のみ着を着なさい、温泉は逃げぬ故…」
まゆはシュババババンと物凄い速さで服を脱ぎ捨てスッポンポンになり、二人共遅いと頬をふくらませた。湯のみ着も着ずに早く早くと急かすまゆに巌勝と縁壱は絶句し、紅くなった顔を逸した
まゆ「あぁっ私ったら何という事をっっっ!!」
自分の失態に気が付き慌てて湯のみ着を着た。着た直後、まゆは思う。『身体洗うのに脱ぐのに何で着なきゃいけないのか』と。疑問を口にするも正論で返されてしまい、プクッと頬を膨らませた
巌勝「幼馴染とはいえ、仮にも男の前で裸体を晒すのはあまり宜しくない(くっ…可愛い…二人きりなら今頃は乳くらいは揉んでいただろうに!縁壱、早く出て寝ろっ)」
縁壱「警戒心を持ってくれ。まゆは無防備過ぎる(目に焼き付いて離れぬ…)」
まゆ「みっ、いや…真にスミマセン。入りましょーアハハッ」
『巌勝お兄様は私の裸を隅から隅迄知ってんじゃん!』と言いかけたが、もう一人の想い人の前では言えずに謝った。例えまゆが巌勝と過去に付き合っていた事を縁壱が知っているとしても、生々しい事はあまり言いたくなかったのだ
巌勝「ふぅー、やはり湯に浸かると疲れが取れるな…心が洗われるようだ(縁壱は鬼狩りで疲れるような質じゃないだろうがな)」
縁壱「えぇ全くです。不思議ですね」
『だから、お前は心身共に疲れたりするのか!?』と巌勝は縁壱に対して思うが、多分聞いても無駄なので聞かない。仲の良い兄弟の様になってしまうから、という事情もある
まゆ「私さぁ二人に嫉妬してるんだぁ~」
縁壱「それは何故だ?」
巌勝「嫉妬する要素が見つからぬが…」
まゆは湯に浸かった解放感と酔いもあるのか、本音を寂しそうに話し始めた。それに対し巌勝と縁壱は随分と戸惑っている様だ
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