第7章 柱になる
・
まゆ「巌勝お兄様ったら新しい手拭い使えば良いのにぃ〜」
秀人「俺以上じゃねーか(ボソッ)グボッ!?痛ぇじゃねーか、おっさん!」
巌勝「あ…いや、勿体無いだろう…顔を拭く分には十分だからな!あー秀人すまぬな、また手が滑ってしまった反省はしておる故許せ。そして私は正真正銘お兄さんだ戯けが(決して私は変態ではない、まゆが好き過ぎる故だ!)」
透寿郎「人は見掛けによらぬものだ…」
その日の夜、日柱邸では昼ドラ並の恋愛物語が繰り広げられた。勿論主人公は巌勝とまゆである
巌勝とまゆの部屋は隣同士、いつもは「おやすみ」と言ってそれぞれの部屋の襖を開けるのだが、今日は何故か巌勝がまゆの部屋に一緒に入ってきたのだ
まゆ「ふぇっ!?どうなさったのですか…?」
巌勝「私はまゆを愛しているんだと、今日食堂で飲んでいる時に改めて思った。もう一度結婚を前提に付き合ってほしい」
巌勝は、突然の事に戸惑いを見せたまゆを真っ直ぐにみつめる。今告白してしまえばまゆが困るのは分かっていたが、気持ちが先走ってしまったのだ
まゆ「あっ、あの…私は…」
巌勝「私はお前を、ずっとずっと思ってきたのだ。まゆが別れの挨拶に来た日に妻に言われた…いい加減にしてくれ、あの子の部屋の方をずっと見ている、あの子を見かけると目で追っていると…」
まゆの中で巌勝が縁壱同様に大きな存在なのは事実なのだが、二人を同時に愛している事に気がついてしまい、罪悪感が一歩踏み出す事を拒んでいる
巌勝「直接会えぬとしても、なるべくまゆに関わるもので視界を埋めたかった」
まゆ「嬉しいけど、私は誰とも付き合う資格ないから…(こんなに嬉しいのに…)」
二人の間で揺れているわけではない、自分自身も何故二人を同時に愛せるのかわからず混乱しているのだ
巌勝「離れている間に何かあったのか!?まさか誰かに無理矢理如何わしい事をされてしまったとか…」
まゆ「違います!そんな事は断じてされてない!そうじゃなくて…」
まゆは『どうしてそうなるのよ…』と思わなくもないが、自分を心配しての事だろうと思って心に止めた
・