第6章 番外編ーR18ー
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縁壱「嘘ではない!本当にまゆを愛してるんだ」
まゆ「でも、私は…本当に愛される価値なんか無いんです…だから抱き締めないでください。縁壱お兄様の継子で居られるだけで私は幸せですから…」
まゆが拒否すると、縁壱の顔が悲しみに染まる。罪悪感を感じたまゆは「でも、縁壱お兄様の事は大好きです」と、付け加える
縁壱「何故に自分に価値が無いなどと言うのだ…」
まゆ「私はっ……二年前、好きな人との赤ちゃんを殺したんです…」
縁壱は絶句し、言葉を失った。まゆの辛い過去、まゆと父と母しか知らない誰にも話しなくなかった事が語られる
まゆ「私は家族を、恋人を持ってはイケナイ…だから、あの子の所に逝くまでは鬼を狩り続けます」
縁壱「待て、意味が分からない。赤子を殺したとは…?」
まゆは巌勝との最後の日に初めて交わった。子供はその時の子である。交わった日から一月程たった頃、まゆに体調の変化が見られた。本人は軽い風邪だと思って気にしてなかったが、直ぐに母親が気が付き夫に相談した結果、医者を呼び堕胎薬をまゆに飲ませたのである
まゆ「風邪薬だと思って飲み続けていました。でも違った…その事実を知らされたのは、赤ちゃんが胎内から出てしまった後でした…だから私が赤ちゃんを殺したんです」
縁壱「違う、まゆじゃない。身重のまゆを放置して、その男は何をしていたんだ!」
珍しく声を荒げる縁壱にビックリしたのか、まゆは身体を強張らせた。縁壱はまゆに「すまない、まゆには怒ってない。だが、その男には怒っている…」と告げた
まゆ「相手の男性は縁談が決まったんですよ。それまで付き合っていたんですけど、当時の私は子供を安全に産める年齢ではなかったんで…双方の父に言われて別れたんです」
縁壱「男は産ませられないのにも拘わらずまゆを抱いたのだ。お前のせいではない」
そう言って縁壱は再びまゆを腕に閉じ込めた
まゆ「私が悪いんです。相手の男性は悪くない…」
まゆは、自分が悪いと言い切った。それを聞き、縁壱の頬を涙が伝う
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