第1章 いつもここから
真っ暗な部屋で、ゲームコントローラーをいじっていた。となりに座る天使は、あぐらをかきながら天使の輪をかじっている。
テレビ画面、いや、映画館の大きさだろうか。ドットに簡略化されたE組のクラスが映っている。楽しげなBGMと共に、みんな自由に動いているようだ。
瞬間、一秒だけモニターがブラックアウトする。そしてゆっくりと照らされた教室は薄暗く、『GOOD NIGHT』の文字と共に自機以外のみんなが血まみれで倒れていた。
慌ててコントローラーを放り投げる。違う、私はこんなことしていない。私の望むものはこれじゃない。
「やったのは君じゃないよ」
うるさい、わかってる。
「ほら、続きを見なよ」
もう一度画面に目を向けると烏間先生と思われるキャラが無傷で立っていて、暗転。
自機のキャラは踏切に飛び出て死んでいった。
「これは君の未来だよ。いつになるんだろうね、でも君は踏切に飛び出て死ぬんだ」
天使ごときが。うるさい。そのままコンティニューもせずに床に寝転んでやった。
「このエンドにいくまで……、いや、ハッピーエンドを見つけるのかな? 君は何回死ぬんだろうね」
うるさい。うるさい。狸寝入りをすると、意識は次第に溶けていく。
「GOOD NIGHT、アオバ」
妙な夢だった。昨日一日でいろいろなことが起きすぎたからだろうか。それより、私の中での天使のイメージは最悪らしい。
そんな馬鹿なこと……、本当に馬鹿らしいことを考えながら、今日もE組に登校していく。