第1章 白雪姫
「妙な世界線にタイムリープしちゃったなあ…」
身に覚えのない世界で困り果てながら森を散策していると、山賊に囲まれてしまいます。
「うわあぁ!」
襲われそうなところに一人の姫が現れ、あっという間に山賊を残らずぶっ倒しました。
「あ…ありがとうございました」
「お前…名前は?」
「花垣タケミチ…森に迷い込んじゃって…」
問われるまま答えると、その姫はふわっと笑って言いました。
「タケミっち…今日から俺のダチ、なっ?」
こうしてマイキー姫と出くわした武道は、危ないところを助けてもらったお礼に一緒について行くことにしました。そして、マイキーの身の回りの世話をすることを決心します。小人達も東卍の仲間として快く迎えてくれました。
木を切ったり水汲みしたり、盗賊にケンカ売ったりして、皆が仲良く過ごしていたある日のこと。お稀咲の手下である半間が、こっそりとりんご売りに化けて森へ遣わされていました。
「バルハラ産のりんごは要らんかね~?」
鏡の回答が以前と同じだったため、お稀咲が部下を使って、今度こそマイキー姫を亡き者にしようと仕掛けたのです。
「旨そうだな…よし、あのりんご、盗んじまおう」
森でりんご売りの姿を見かけた小人の一虎は、仲間の場地にそう持ち掛けました。いつもお世話になっているマイキーに何かあげたかったのです。
「マイキーの喜ぶカオ、見てーだろ?」
「盗むのはダメだろ。そんなんマイキー喜ばねえよ」
場地の反対を押し切って、一虎はりんご売りに近付きます。半間はわざとりんごを盗ませ、用意していた毒りんごがまんまと一虎の手に渡りました。
「面白くなってきたじゃんかよお」
そうとは知らず、一虎は奪ったりんごをマイキーに振る舞いました。
「おいマイキー、せっかくだからりんご食えよ」
「何だよりんごしかねえの?俺どら焼きが食いたい気分なんだけど」
「いつも世話になってる礼だ。受け取ってくれよ」
「まあ…りんごで我慢するか。ありがとな」