第1章 白雪姫
昔々佐野城の王様とお妃様のあいだに、雪のように透き通る肌、宝石のようにきらめく瞳、さくらんぼのように赤い唇の美しい姫が生まれました。マイキーと名付けられ、すくすく育っていきました。
ところがお妃様が病気で亡くなると、王様が新しいお妃様を連れてきました。
新しい女王、お稀咲さまは邪悪な一面を持っていました。美しく負けず嫌いなお稀咲は、いつも鏡に向かってこう問い掛けます。
「鏡よ鏡よ鏡さん、この世で一番強く美しいのは誰だ?」
「お稀咲さまです」
お稀咲は鏡の返答に満足していました。
しかしある時、いつものように鏡に尋ねると、予想外の言葉が返ってきました。
「鏡よ鏡よ鏡さん、この世で一番強く美しいのは誰だ?」
「マイキー姫です」
「…何だと?」
お稀咲は一番が自分でなかったことが気に入りません。マイキーをねたましく思い、すぐに部下を呼びつけて怒りのままに命じました。
「おいキヨマサ、マイキー刺してこい」
「えっ…喧嘩賭博仕切ってるだけのオレが佐野くん相手って無理ゲー過ぎ」
しかしお稀咲さまの命令に背くことは出来ません。キヨマサはマイキーを連れ出し森へ向かいます。
「おいキヨマサ、こんな所に何の用だよ?」
マイキー姫の問い掛けに、キヨマサはどきっとしながらも誤魔化します。
「い、いやあのう…散歩なんてどうかなーと…」
「帰りたいんだけど」
「えっ…それはダメです」
「その腰の剣は何だよ」
「いやこれは姫の護衛用に…」
「俺に使う気か?テメー…俺とやんのか?」
キヨマサがひより散らかし殺されずに済んだマイキーは、森の奥で小さな家を見つけます。眠たかったので、ベッドを占領しそのまま寝ました。
気が付くと、家の住人である小人達が帰ってきていました。
「お前…誰だ?」
「マイキーだ。城に住んでたんだけど、お稀咲に追い出された」
「マジかよ。じゃあここにいろよ」
こうしてマイキーは森の中で出会った小人達と暮らすことになりました。気の良い優しい奴らで、一緒に過ごすうち彼らと仲良くなってみんなで東卍を立ち上げました。
その頃、マイキーと小人達が暮らす森に迷い込んだ武道の姿がありました。