【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel
第3章 夢【呪術廻戦五条悟】
「着いたので声をかけたのですが…」
『ごめんなさい、少し寝不足で。』
「大丈夫ですか…?やはり他の術師を…」
『いえ、大丈夫です。』
「でも…なにかあったら…。私五条さんに言われてるので…」
『平気です!すぐ帰ってきますよ。』
笑ってそう言うと、伊地知さんは少し迷いを見せたが「分かりました。何かあったらすぐ呼んでください。」と承諾してくれた。
歩く私を見守る伊地知さんを後ろ目に手を振りながら、呪いの気配がする校舎へと入っていった。
_________________________________
・
・
・
呪いを探しながら廊下を歩いて、何十分たっただろう。
どこまでも続く廊下。
きっとここにいる呪いのせいだろう。
寝不足のせいか、ふわふわとする足取り。
頭に響きつづいている声。
もう疲れたなぁ。
頭が痛いな。
「香菜、どこに行くんだ?」
はっきりとした声。
頭に響いていた声によく似ている声。
振り返れば……耳にピアスをつけた…
『げ、とう……?』
「うん?そうだけど…?」
その言葉に、言葉が出なくなって。
私は、その姿に一目散に走って抱きついた。
覚えていない。知らないはずなのに、げとうだって思った。
それでいて、なぜか胸が締め付けられるように苦しくて。
彼を抱きしめないと、消えていってしまうような。
そんな気がして、抱きしめずに居られなかった。
わけもわからず涙を流しながら抱きついた私を、げとうら優しく背中をさすってくれた。
ようやく涙が止まり、ふと周りを見れば学校にいる私。
『あれ……?私任務に……』
「任務?何を言ってるんだい?熱でもあるのかな?」
私のおでこに手を当てて確認するげとう。
そうだっけ……?
私…は、?
「最近忙しかったから疲れているのかもね。休憩がてらに遊びに行こうか?」
にこりと笑うげとうに、私も釣られて笑う。
そうだよね。そうだ私は悪い夢を見てたの。
私は普通の高校生だったじゃない。
『う、うん!遊ぼう!』
胸のつっかえが取れた気がした