【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel
第3章 夢【呪術廻戦五条悟】
何週間後_____
香菜side
寮の部屋で目を覚ます。
この生活にもだいぶ慣れてきた。
私はどんな人だったとか、そういうのはタブーで誰も聞いてこない。
最初の自己紹介の時に、五条先生が「香菜は記憶喪失なんだー」と軽く紹介していたからのもあると思うけど、なにか……不自然なのが少し気になる。
2年の先輩に挨拶しに行った時も、なんだかぎこちなかった。
私になにかを隠しているような……。
私はなにを忘れているの?
2年生の先輩に『げとうって人、知らないですか?』と聞いた時の、あの先輩たちの顔。
「知らないなー」と笑っていた先輩達。
どこか焦ったようなその顔……。
やっぱりなにかある気がする。
毎日気になって気になってしょうがなくて、眠れない。
夢を見る。
知らない声が私を呼ぶの。
『あなたは誰なの……?』
1人ぽつりとつぶやく声は、静かな部屋に消えていく。
寝不足で少し重たい体を起こす。
今日は私の初めての1人の任務。
今まではまだ目覚めたばかりだし、危ないからと先輩や、1年の誰かとの合同任務しか無かったが今回は初の1人での任務。
緊張はしてない。
ただいつものように祓うだけ。
高専の入口まで行くと、1台の車が見える。
『伊地知さん!』
「おはようございます。香菜せ… 香菜さん。」
今日の引率をしてくれる伊地知さん。
ぺこりとお辞儀をされ、コチラもぺこりと挨拶をして車に乗り込む。
「今日の任務は〜…」
走る車の中で説明する伊地知さんの声を耳に入れながら、窓の外の風景を眺める。
任務の内容は聞いていた。
でもなんだか上の空だった。
頭の中はずっと知らない声が響いてる。
どこか懐かしい声がする。
〝香菜!…〜が呼んで……〟
〝俺が……〜から……〟
〝やめて!…〜ないでっ…〜!〟
「…〜さん。香菜さん。」
ハッとすると、バックミラーに写る少し困り顔の伊地知さん。