【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel
第3章 夢【呪術廻戦五条悟】
『分かりました、。』
「うん。僕、1年の担任だからさ〜これからよろしくね、香菜。」
手を差し出せば、小さな細くい手が悟の手をぎゅっと握った。
『こちらこそ、これからよろしくお願いします。五条先生。』
ふわりと笑う香菜。
久しぶりの香菜の笑った顔に涙が滲みそうなとこを堪えて、「じゃ、手続き進めてくるね」と、手を振りながら病室を出た。
五条が外へ出るまで、香菜はふわりと笑ったまま手を振り続けていた。
病室を出て、扉を後ろ手で閉めてから、扉にもたれ掛かるようにして座り込む。
〝悟ー!急いで!アイス溶ける!〟
〝ねー悟ー聞いてよ硝子がさぁ…〟
〝もー!また教科書忘れたの?次から見せてあげないよー?〟
今でもはっきり脳裏に浮かぶ、自分の名前を呼ぶ彼女の姿。
きっともう、叶わない。
願いを言うなら、自分のことを思い出して欲しい。
それでも、思い出さなくていい言ったのは、彼女の笑顔が好きだったから。
〝悟っ……傑っ傑が……!〟
思い出す、彼女の涙を流す姿。
もう、あんな顔はさせたくない。
思い出さなくていい。それで彼女が笑顔でいれるのなら。
彼女との思い出は、自分のみが覚えてれば、それでいいんだ。
それでいいはずなのに
「香菜……」
こんなにも苦しいのはなぜなのだろうか。
もう一度名前を呼んで欲しい。もう一度笑いかけて欲しい。もう一度……。
そんな気持ちを消すように手をぎゅっと握りしめた。
この気持ちは今日無くしてしまうんだ。