【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel
第2章 おにぎり【呪術廻戦狗巻棘】
狗巻棘side
香菜の頭を撫でながら抱きしめていると、スー…という寝息が聞こえた。
ちらっと見れば、目元に涙浮かばせたまま眠る香菜の姿。
最初のような思い詰めた顔ではなく、心地よさそうに寝て見える。
彼女の目尻に浮かんだ涙をそっと拭って、起こさないように慎重に横抱きにした。
そのまま彼女の部屋に送っていこうと立ち上がると、「棘くぅん〜?」と後ろから同級生の声。
「随分イチャイチャしてましたねぇ〜」
ニヤニヤ顔で笑うパンダ。と、隣に真希。
そしてその後ろで顔を赤くして驚く後輩達3人の姿。
「おかかぁ〜…」
ジト目で反論してから、彼女の部屋に向かおうと足を向ける。
後ろから主にパンダの「ヒュ〜ヒュ〜!あついなぁ〜?」というからかいの声が聞こえたが、聞こえないふりをして無視をした。
寮の方へ向かう途中、女子の同級生の部屋に勝手に入るのはどうかと思い直し、結局医務室に向かって、彼女をベッドに下ろした。
彼女に掛け布団をかけた所で、彼女が何やら目を瞑ったまや呟いた。
『…棘くん……大…好き………』
その言葉に驚いて目を見開いた。
熱くなった顔を冷ますように「しゃけ…っ」と手で顔を仰いだ。
内心はとても嬉しくてしょうがなかった。
入学してからずっと、彼女に惹かれていた。
彼女の真っ直ぐなところも、優しくて可愛い所も。
カーテンを閉める前に、彼女に近づき、おでこの髪をよけてチュッと、軽くキスを落とした。
「高菜……」
自分もだよ。
そんな気持ちを伝えるように。
「つ、ツナマヨ……っ」
はっと我に返り、彼女が起きていないにも関わらずキスしてしまったことに恥ずかしくなって、足早にその場を去った。
香菜は強いよ。
優しいよ。
優しくて強いから、自分より他人の事を1番に考えられるんだ。
気づいていないなら教えてあげるよ。
君のいいところもっともっとたくさん_
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医務室から戻ったあとは、パンダ達からの質問攻めとからかいを受けたのは言うまでもなかった。