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【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel

第2章 おにぎり【呪術廻戦狗巻棘】


両手でおにぎりを持つ。


ゆっくりと運んで、口に持ってくる。


1口食べてみると、塩っぽい海苔の風味と、ご飯の甘みが口に広がった。



美味しい…


ご飯を食べるのは何日ぶりだろう。



一人でいる時は手が赤く血で汚れて見えて、食べても吐いてしまっていた。



でも今は何故か、すんなり喉を通る。


棘くんが、くれたから。


棘くんが横にいてくれるから。




そのまま、二口目を頬張り、三口目、四口目と続いていった。





ふと、棘くんが私の頬を撫でた。



香菜の頬には涙が伝っていた。




「おかか……」



棘くんが心配そうに涙を拭う。



『あ、あれっ?ごめんっなんか、止まらなくてっ…』



ボロボロと何故か止まらない涙を笑って誤魔化して拭っていると、ふんわりと温もりが私をおおった。




『棘、くん?』



棘くんが香菜に覆い被さるように香菜を抱きしめていた。



そのまま頭をポンポンと一定のリズムで撫でる。




「高菜…」



泣いていいんだよ。

無理しないで。

大丈夫だよ。



そんなふうに言われてる気がした。



香菜はまるで子供のように棘に縋りつき、頭を撫でる心地よいリズムを感じるように体を預けた。




棘くんの温もりはいつでも安心する。



棘くんがいると安心する。



『棘くんっありがとねっ……?』



絞り出した声は涙声だったけど、棘くんは「しゃけしゃけ」と微笑んでまたぎゅっと抱きしめてくれた。
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