【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel
第2章 おにぎり【呪術廻戦狗巻棘】
『毎日っ…思うの…』
あの時、私がもっと強くて殺す以外の選択肢があれば
あの時、あの子の気持ちに寄り添ってあげてれば
私が五条先生やみんなみたいに強ければ
ボロボロと涙が零れ、地面を濡らしていく。
『あの子のこと、救えたんじゃないかなって…っ!』
毎日脳裏に浮かぶのは、あの子の顔。
私への憎しみの顔。
お姉ちゃんのことを話した時のあの悲しそうに歪めた顔。
恐怖に溢れた顔。
あの子にだって守りたいものがあった。
私にもいる。
同じことなのに、なぜ戦わなきゃ行けなかった。
ふいに棘くんがスっと立ち上がった。
そのままどこかへ走っていってしまう。
あぁ、棘くんに情けないと思われたかな。
めんどくさいと思われたかな。
「しゃけ!」
上から聞こえた声にぱっと顔をあげれば、レジ袋を片手に掲げた棘くんの姿。
棘くんはなにやらゴソゴソと中を漁り、取り出した。
『おにぎり…?』
「しゃけしゃけ。」
棘くんは隣に座ると、自身もおにぎりをあけはじめた。
『ありがとう…棘くん。』