第1章 鏡
エレンは顎に手を添えながら再び姿見を掴み軽く引っ張る。
「っ、こんな頑丈なの誰かがやったとしても相当時間掛かるし何日かこの部屋に足を運んで無いと難しいぞ…」
「エレンの言う通りそれくらいしないとこれは出来ないと思う。だからってやる必要が分からないけど…」
「…とにかく無理にでも外す。」
ミカサは怖い顔して姿見を掴んで引っ張ろうと力を込める。
「ちょっ…ミカサっ!」
私は焦ってミカサの腕を掴み止めに入るとエレンやアルミンも一緒にミカサを落ち着かせようと声を掛ける。
「おいっ…!ミカサっ…落ち着けって!」
「そうだよ、ミカサっ…!無理にやって怪我でもしたらどうするんだっ…」
「ミカサっ、気持ちは嬉しいけど一旦落ち着こう?」
そう言うとミカサは納得のいってない顔を浮かべながら仕方なくといった感じで姿見から手を離してくれた。
「…でもどうするの?このままにしておくの?」
ミカサの問いかけにエレンやアルミンも困った表情を浮かべる。
私も考えながら姿見を見つめる。
危険性がないなら…大丈夫だとは思うけど…取り外しが出来ない以上、どうしようも無いし…ひょっとしたら…
前の住人の人が思い出して訪ねて来るかもしれない。
ゴクッと喉を鳴らし口を開く。
「…置いておく。」