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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第14章 初恋の君と (角名倫太郎)



スー…スー、と規則正しい寝息がきこえてくる。俺の事なんてまるで気にしてないんだろうな。

俺はその寝顔をただ見つめるだけ。
独り占めできたら、なんて考えてる。

中学の頃、合宿やら遠征やらのバス移動は3年間隣を死守してた。俺の隣ですぐに眠りに落ちる彼女を何度も見てきたはずなのに。今日は今までとは違う。もう見てるだけじゃ満足なんてできない。俺だけの彼女でいてほしいと欲張ってしまう。

ーーーーーーーーーーーーー

ギギギ、とサイドブレーキがかかってバスはサービスエリアに止まった。

「ちゃんサービスエリア着いたけど降りる?」

『ん、んん…降りる…御手洗いく…』

「20分後に出るって」

『んー…っ』

眠たそうな彼女の手を引いてゆっくりバスを降りた俺たちはトイレに向かった。

「夜はまだちょっと涼しいね」

『ねー、でもこのくらいが丁度いいかも』

「夏の体育館地獄だもんね」

『ほんとに地獄…角名くんたちは動いてるから尚更だね』

何気ない会話が俺にとっては幸せで、こんな時間に2人きりでいられることとか全部が嬉しい。

『あ、ウーロンミルクのパック!見たことない…飲みたい!』

バスに戻る途中、ずらりと並んだ自販機にお気に入りのジュースを見つけて彼女の興味はそちらにそれた。

「俺も買おうかな」

『お、角名くんもウーロンミルクハマった?』

「うんハマったかも。美味しかった。」

『美味しいよね!』

彼女がボタンを押すとウーロンミルクのボタンが赤く光って売り切れを告げる。

『あ、最後のひとつだったみたい』

「だね。俺は向こう着いたらコンビニで買うよ」

『じゃあ一緒に飲もうよ!』

「え」

『いらない?』

「え、の、飲む!」

『うんっ』

バスに戻ってさっそくジュースにストローをさしたちゃんがそれを俺に差し出した。

『1口目は角名くんにあげるっ』

「え、いいの」

『いいよいいよっ』

できればちゃんが口をつけた後に飲みたかったなんてクソキモイこと言えない…。

「ん、やっぱおいしー」

俺が口をつけたあとのストローに躊躇うことなく口を付ける彼女。2回目の関節キス…。やばいなんか、おかしくなりそう。
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