第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
『じゃあ角名くんまた後でね』
「うん、1時間後くらいにマンションの前いく」
『了解です!』
音を立てる心臓とともに帰宅してとりあえずシャワーを済ませた。夜行バスで帰る時っていつも何持っていってたっけ…ダメだめっちゃそわそわする…。
荷物は昨日まとめたし平気。実家帰れば着替えもあるし特に荷物はないんだけどね。ちゃんも実家泊まるって言ってたしきっと荷物少ないよな。
待って1時間ってあっという間過ぎない!?
あと10分しかない待って待って。
変なとこないよね。臭くないよね。服ダサくないよね?バス乗るから緩い格好だけど大丈夫だよね。
あぁもう家出なきゃ…!
そわそわバタバタしながら家を出てちゃんよりも先に外で待つ。少しして同じく緩い服装の彼女がトートバッグをひとつだけ持って出てきた。
『角名くんお待たせ』
「全然待ってないよ。行こっか。」
くぁあああわいい!可愛すぎるなんなの!?いつも結んでる髪が下りてるだけでこんなに雰囲気違うんだ。パーカーにスウェットパンツ。ほとんど俺と同じような格好の彼女はなんだか新鮮で小動物みたいで可愛らしいにも程がある。
『みんなで集まるの久しぶりだから楽しみだあ』
「そうだね、俺もめちゃくちゃ久々。そもそも愛知帰るのが久しぶり。年末年始もこっちで治たちと過ごしたし。」
『春高もあるし角名くんは冬も忙しいよね』
「今年はちゃんも忙しいよ」
『それは春高に連れていってくれるってこと?』
「絶対連れてくよ」
『楽しみにしてる。私も皆と一緒に頑張るね!』
俺からすればいてくれるだけでいい。大袈裟なんかじゃなくて、ただそこにいてくれるだけで100%のプレーができる。かっこいいとこ見せたいっていう下心だとしても勝利に貢献できてるし。