第2章 気付けば廃墟の中で
「…銃声……」
遠くからわずかにだが、銃声音がしたのをヒロは聞き逃さなかった。
おそらく恭弥も気付いているのだろう。
音のした方を目を細めながら見ていた。
次の瞬間、
「――――キが――!!!」
「!!」
余程注意しても聞こえるかわからない程の叫び声を聞き、恭弥とヒロは同時に走り出していた。
二人には確かに聞こえたのだ、『シキ』という人物の名前が。
「…僕は右側から行く。ヒロは反対から」
「わかった……お前達はそこで待機、ディーノにも伝えとけ」
「はっ!」
後ろの部下にそう告げながら左右に分かれ、お互いが見えなくなったところで近くの瓦礫の壁に身を潜める。
段々大きくなる悲鳴を耳にしながらヒロは気配を消した。