第1章 過去
私がこの家に来て4年がたったある日、祖母が亡くなった。
溺死だった。川に溺れて浮かんでいるのを
たまたま買い物終わりに通りかかった私が見つけた。
『…お祖母様。』
齢9歳にして
初めて死体も見たのにも関わらず、
何も怖くは無かった。
「おい娘、何かあったの、か…」
振り向くと近所のお爺さんだった。
お爺さんの顔がみるみる青冷めていく
「まさかっ、お前っ…!」
『違う、私じゃな…「誰か!!誰か来てくれ!!」
腰を抜かしながら大声を出すお爺さんに
街中の人が集まった。
後から警官が駆けつけ、私はお縄となった。
「お義理母様に何をしたの!!」
『お母様、違うの、私じゃない』
「信じれるわけがないだろう!!」
私を罵倒する2人。両親とはこういう時には庇ってくれるものでは無いのだろうか。
あぁ、私は夢を見ていたんだ。
幸せな家族の夢を。
捨てられた子だろうと関係ない。
ちゃんと愛してくれる親が良かったのだ。
その瞬間、私は役所を飛び出た。
みんなからの視線が痛い。心臓がはち切れそうだった