第2章 本当は仲良くなりたい
翌朝、朝早く目が覚めた椿姫は、いつもよりも早く登校した。
途中『八左ヱ門に会えるかな?』と思っていた。
椿姫自身も八左ヱ門と話したいと思う様になっていくのが
不思議だと思っていた。
「あ‥‥。」
椿姫はふとそう呟いて目の前に歩いている後姿を見つけた。
「あれって…竹谷君…?」
彼女の目の前に歩いていたのは、正しく竹谷八左ヱ門だった。
そんな八左ヱ門は後ろに歩いている椿姫に気付いてはおらず、
機嫌よく鼻歌を歌いながら歩いていた。
椿姫は、『よしっ!』と心の中で小さくガッツポーズをし、
八左ヱ門に小走りで駆け寄った。
「あ…あの…竹谷君!!」
「ん?…え…?か、神崎?!」
八左ヱ門は急に話しかけてきた椿姫にとても驚いていた。
そんな、初めて声をかけた椿姫もドキドキとしていた。
「あ…あの‥お、おお、おはよう!!」
「お…おぉ、おは…よう////」
お互いに初めて言葉を交わし、顔を真っ赤にしていた。
「は…早い…な?」
「あ…えっと…早く、目が覚めちゃったから‥‥。」
「そ…そっか…。」
少ない会話ではあったが、2人はお互いに話せたことが
嬉しく思っていた。
「な…なぁ。」
「あ…はい!!」
「い、一緒に…登校…するか?////」
「…う、うん。」
八左ヱ門は勇気を振り絞って椿姫を誘うと
椿姫も少し嬉し気に頷いて答えた。
「よ、よし!行くか‥‥。」
「あ…うん。」
八左ヱ門は少し椿姫に歩幅を合わせ、二人で歩き始めた。
そんな気遣いをする彼に椿姫は次第に惹かれ始めていった。
「八左ヱ門君って‥‥動物好き、なんだよね?」
「あ、あぁ。えっと…お前はさ…」
椿姫から動物好きの話題を振られ、八左ヱ門は動揺した。
彼女が動物が苦手だと知っていた為だった。
「うん…私はね…苦手なんだ…」
「そう、だったよな。」
「でもね…嫌いじゃないの。」
「じゃあ、少しずつ好きになれれば良いな。動物。」
八左ヱ門に素直に自分が『苦手』だと言えた事、
そして、八左ヱ門の温かい言葉に椿姫はときめいた。
「好きに…なれるかな?」
「それはさ、お前がどう感じるかだから。」
「そっか…そうだよね。」
「でも、俺はさ、きっとなれると思うけどな?」
八左ヱ門はそう椿姫に言って、笑顔を見せた。
『きっとなれる』…。八左ヱ門のその言葉を聞いて
椿姫はそうなりたいと思った。
