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女の子は嘘と魔法でできている

第9章 叶わない恋 貴方side


家に着くな、まだ一緒に歩きたい
そんな思いは儚く散る

「ここだったよな?」

「うん、ありがとう」

「俺の方こそ楽しかった、じゃあな」

手を振るけど本当は嫌で私はみなみくんの袖を掴んだ

「み、みなみくん」

「ん?」

「や、やっぱ帰らないで…」

恥ずかしくて少し俯いてしまう
でもまだ行ってほしくない、そばにいてほしい

「え?」

緊張と不安でキュッと袖を掴む力を強くなった

「もう少しだけでいいから一緒にいたい」

精一杯の私の言葉だった
なんでもいい、みなみくんが私を必要としてくれるならなんだってする、まだ愛されていたい
みなみくんのそばにいたい、だから断らないで…

「…俺はいいけど」

「ほんとに?」

「同じこと考えてたわ、まだ離れたくねーなって」

その言葉に安心して笑みが溢れた
“好き”
小さい頃からずっと一緒で私の一番の理解者
私のことはなんでも知ってる
だから寂しくさせないようにいつも笑わせてくれていた
それは今でも変わってない
ただ変わったのは

パタンッ

玄関の扉が閉まったらがっつくようにキスをして私の両手を掴んだ

「引き止めたってことはこういうことだろ?」

違うなんて言わなくて言えなくてそのまま玄関で獣のような目で私を見る彼にアゲハのような態度をとる

「まだ足りないからさ」

私だけを見て
身体だけでもいいから今は忘れるくらい愛して

「好きだよ、みなみくん」

「俺も」
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