第5章 甘い匂い
ドンッ
「す、すみません」
「こちらこそすみま…せん」
フワッと香ったのは甘い匂い
どこかで嗅いだことあるような匂いだった
ガシッと腕を掴んでしまった
「え」
「あ、えっとすみません…」
慌てて手を離す
それで気づいたこの人顔色が良くない
「大丈夫ですか?」
「は、はい…急いでるので、」
顔を合わせようとすると逃げるようにどこか行ってしまった
なんだろあの匂い、嗅いだことある、どこかで嗅いだことあるんだよね、どこだっけ、どこで嗅いだ?あの女の人はどこで出会ったことあるんだ?誰だっけ…あれは誰なんだ?
誰かに似ているようで似ていない
そんな女の人が気になって仕方ない
「カルマくん大丈夫??」
「え、あ、うん、あの人の方が大丈夫じゃなさそうだったよね」
「顔色悪かったもんね」
「……なんか引っかかるんだけど…んー」
「なにが?」
「誰かに似てたんだよね、それが思い出せないの」
「誰だろう…カルマくんギャルと知り合いなんだね」
「いや、そんな知り合いいなかったはずだけど…」
誰だっけ
あの人は誰に似てるんだ?