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数奇なえにし【NARUTO】

第1章 出会いのお話


のらりくらりと旅していると、自分と似たような境遇の子供を何人も見かけた。
人体実験の被験者や親が犯罪者など、表の世界で生きていけない子。
自力で生き抜ける力もなく、ただ死を待つだけの命。


見かねた僕は、気まぐれで手を差し伸べることにした。
この力があれば、寝床と食い物を与えるくらいはできる。
世界中を渡り歩く中で、一人、また一人と拾い、隠れ家はいつの間にか大所帯になっていた。


うるさいのは好きじゃない。独りのほうが落ち着く。
それなのに、あの子達はこちらの気も知らず無邪気にまとわりついてきた。


どんなに疲れていても遊んでくれとねだられる。
真夜中に怖い夢を見たと泣きつかれ、仕方なく同じベッドで寝る。
散らかった部屋を見かねて片付けていれば、外で遊ぼうと連れ出される。
血生臭い仕事を終えて帰ってくると、お世辞にも美味しいとは言えない温かいご飯を出された。


一年も経てば、案外悪い生活ではないと気付いた。
出身も立場も違う寄せ集めなのに、いつの間にか家族のようになっていた。


悪にもなりきれず、もちろん正義でもない。
そんな自分の生き方を、那霧はそこそこ気に入っていた。


今年で十六歳になった僕は、今も闇にどっぷり浸かっている。
いまさら日の当たる場所で暮らすのは抵抗があったし、表の世界の安穏とした空気に慣れることができなかった。
暴力沙汰に巻きこまれたり、自分から起こしたりもした。
誰に命令されるわけでもなく、孤独で気ままな生活だった。
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