第1章 出会いのお話
だから、エストラーネオの生き残りを狙うハイエナの存在も過敏に感じ取っていた。
これまでも、人体実験をするファミリーとして周囲に疎まれていた。
エストラーネオを見かけたら殺せという暗黙の掟もあったようだ。
そういう事情を鑑みると、エストラーネオの大人も相当に追い詰められていたのだろう。
弱小ファミリーの肩身は狭かった。
一方で、実験体の子供に興味を示し、手に入れようと画策する人々も多かった。
そういった汚い大人から弟達を守る盾になるために、僕はひとりでイタリアの街を歩くことにした。
思惑通り、たくさんの大人が狙ってきた。
そうして、僕はまたこの手を多くの血に染めた。
正当な自己防衛だ。非難されるいわれはない。
けれど、世界はいつだって大人の味方だった。
警察が出てきて、裏の住人も本腰を入れて僕を探し始めて、ようやく僕は重い腰を上げてその街を離れた。
弟達はとっくの昔にどこかへ行っていた。
遠くからでも守れればいいと思っていた。生きていてくれさえいれば、と。