第1章 出会いのお話
「……はっ」
那霧が馬鹿にしたように笑う。
不器用な子供が粘土で作ったような、かろうじてクナイと分かる不格好な物体ができあがっていた。
「薄々察してましたけど、幻術の才能ないですね」
二十二年生きてきて、そんな台詞を言われたのは初めてだ。
馬鹿にされて腹が立ったのも、人生で初かもしれない。
イタチの周りの温度が下がったことに気付いた面々は、各々震え上がっている。
「お前の説明が雑すぎる」
「理論から説明したいところですが……。
母国語や英語ならともかく、日本語では無理」
「簡単に無理というな」
「僕、こういう時にぴったりな言葉知ってますよ」
「……一応聞いてやる」
「念仏デモ唱エテロ」
「…………」
「い、イタチ、落ち着け、な?
初めてなんてそんなもんだって!」
「そ、そうそう! 誰でも失敗はあるってばよ!」
カカシとナルトがすかさずフォローに入る。
こんなことで腹を立てている場合ではないのは自分が一番よく分かっているが。
「ぷっ……見れば見るほど下手ですね」
にやにや笑っている顔が心底癪に障る。
いいところもあると思ったが、こいつは性格が悪い。
弱みを見せたら一生小馬鹿にされ続ける。
「もう! 那霧さん、真面目にやってください!」
「僕は真面目です。
教え子が不出来なだけ」
「もっとちゃんと教えてください!
遊びじゃないんですよ!」
「……いや、俺が理解できていないだけだ。
もう少し詳しく教えてくれないか?」
相手は子供。世界のために、ここは大人になるしかない。
ひきつった笑顔を向ければ、那霧はやれやれというように肩をすくめた。
「時間切れ。
カグヤに見つかりました」
突如、轟音と共に部屋が揺れる。
外から攻撃を受けているのだろう。